8年目で初戴冠。野尻智紀「たくさんの応援のおかげで諦めずに前を向くことができた」【2021年SFチャンピオン会見】

 2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終戦となった第7戦『JAF鈴鹿グランプリ』の決勝後、鈴鹿サーキットで2021年シーズンのシリーズチャンピオン会見が行われ、2021年シーズンのドライバーズタイトルを手にした野尻智紀(TEAM MUGEN)、そして関口雄飛、平川亮を擁してチームタイトルを獲得したcarenex TEAM IMPULの星野一義監督が登壇。タイトルを獲得した喜びを語った。

野尻智紀(TEAM MUGEN)有効ドライバーズポイント:86pt

「第6戦のもてぎでシリーズタイトルを決めることができ、この最終戦はシリーズチャンピオンに恥じないレースをしたいと思っていました。しかし、予選から少しつまずくところもあり、2021年シーズンで一番苦労した予選になってしまいました」

「ただ、レースは別物ですし、なんとしてもレースでは挽回したいという思いが強くありました。そのなかで先程の会見(第7戦決勝トップ3会見)でもお話したとおり接触により、たくさんの方にご迷惑をおかけしてしまったところもあり、反省点の多い最終戦になってしまったと思います」

「しかし、(引かない)気持ちは見せることにができたと思います。数年前の私だったら引いていただろうし、並びかけるところまですら行けなかったかもしれません。そういった成長の後押しというのは、応援してくださる方々や、ご協力いただいているたくさんの方々がいなければ、絶対にできなかったことなのは間違いない事実です」

「本当に自分でも不思議なほど、すごくたくさんの方が協力してくださり、私を応援してくださっているので本当に嬉しく思います。それをなんとしても結果に繋げたいという思いは前からありましたが、自分の技術だったり、すべての力が及んでいなかったため、なかなか結果につながりませんでした」

「自分自身の不甲斐なさに押しつぶされるときもたくさんありましたが、それでも諦めずに前を向くことができたのはたくさんの方々の応援だったり、ご協力があってのことです。一歩一歩、自分なりのペースで、自分の道を進むことができたというところで、改めてたくさんの方々に対し、お礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」

「僕自身、今週のレースを振り返ると、もっと伸ばさなければならないところがあると思います。勝てたかもしれないレースをひとつ落としてしまったという認識もありますので、自分自身さらにここからレベルアップを図っていきたいと思います」

「それがスーパーフォーミュラのおもしろさにつながると信じて、たくさんの選手たちと切磋琢磨して、このスーパーフォーミュラを見てくださる方々に『おもしろい』と思っていただけるようなレースを見せることができるように、ひとりのドライバーとしてこれからも精進し続けたいと思います」

星野一義監督(carenex TEAM IMPUL)ドライバー:関口雄飛/平川亮有効チームズポイント:88pt

「スタート前は雨が降ったりという状況で、スタートしてどういう方向に向かうのかというところで、作戦があってないようなものとなりましたね。ただ、プロフェッショナルチームとして、どういう方向に進んでも対応できるように準備はしていました」

「スタートした直後に雨がパラパラと来たので、僕としてはもう少し雨が降ってほしい、それでレースが荒れてほしいと思いましたね。2台ともグリッドが前の方ではなかったものですから。おそらく、(雨なら)ベテランの技量を活かして、上位に上がりやすいのではないかと。ドライだとなかなか(前に)出られませんからね」

「徐々に雨がパラパラと落ちて飛び出すクルマもあるなかで、うちのドライバーはしっかりとコントロールしてくれて、それはすごく頼りになったよね。ピットに関しても、(シーズン中)ミスは何回もあるけれど、その度に『何やってんだ』って。ドライバーが0.1秒遅いとスタッフから愚痴が出るのに、ピット作業で何秒も遅れることがあるから“プロのピット作業”を目指そうよと。そのための予算は増えないけど頑張れ! と(笑)。勝手のいいことを言っているのですけど、今回は見事にやってくれましたね」

「そして、僕はドライバーにもプレッシャーをまったくかけないで『ちょっと頑張れよ』、『最終戦だから頑張れ』くらい。でも、本当はいろいろと言いたかったんだよね。すごく言いたかったけど……それがプレッシャーになって頭に残らないように『頑張れ』くらいで」

「だからこれの結果は素晴らしいと思います。本当に僕自身、ドライバーとチーム感謝しています。今日のレースを見て、スタンドでも感動があったと思います。なので……簡単に言えば、この『レースばか』を通そうと思っています。でもどこまで続くのか、肉体的なもの、経済的なものもありますけど、まだまだこのスーパーフォーミュラというシリーズのなかで暴れたいと思います」

「これで僕もスポンサーさんのところに、『このチャンピオンという肩書きが見えますか』みたいな感じで……ドラマでは水戸黄門が好きですから(笑)。そういったかたちで岡田社長(伊藤忠エネクスの岡田賢二社長)のところへも挨拶に行けますね」

「2022年シーズンもおもいっきりスーパーフォーミュラの“本物のレース”の素晴らしさを、みなさんに見ていただけるようにがんばります。ありがとうございました」

2021年スーパーフォーミュラでチームタイトルを獲得したcarenex TEAM IMPUL

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