短期決戦前に主力に〝暗雲〟 それでも原巨人に「不気味」の声が出るワケ

左わき腹を押さえベンチ裏に下がった岡本和(東スポWeb)

下克上に暗雲だ。セ・リーグ3位からCS突破と日本一を狙う巨人に、さらなる試練が立ちはだかった。主砲・岡本和真内野手(25)は31日の練習中に異変が生じ、打撃練習を回避。CSでの先発に向け、フェニックス・リーグで調整登板した山口俊投手(34)は3回4失点で不安を残した。どうにも波に乗れない原巨人ではあるが、短期決戦を前にかえって不気味がる声も上がっている。

6日からの阪神とのCSファーストステージ(甲子園)に向け、一軍本隊は東京ドームで全体練習を行った。そのなかで、岡本和は守備練習中に苦悶の表情を浮かべながら左わき腹やろっ骨付近を抑えてベンチ裏へ。その後のフリー打撃を取りやめたのは、大事を取っての措置とみられる。原辰徳監督(63)は「深刻なものではないか」との問いに「と思いますよ」と話したが、今後に向けて一抹の不安は残る。

また、7日のCS第2戦での先発が見込まれる山口は、遠征先の宮崎で初回に味方の失策が絡み、押し出しを含む3四球を与えて一挙4失点。「もう一度、(ストライク)ゾーンに投げ込む、そこを残りの間で調整していければ」とクリアすべき課題を口にした。

ただでさえ、今季はシーズン終盤に大失速。一時は打線が大スランプに陥り、投打もかみ合わず、屈辱の10連敗も喫した。ファーストステージを争う阪神には、9勝13敗3分けで14年ぶりの負け越し。後半戦は1勝6敗3分けと圧倒され、ファイナルに進出できたとしても王者・ヤクルトが待ち受ける。そのヤクルトにもシーズン全体では11勝11敗3分けと互角の結果となったが、後半戦は4勝7敗2分けで水を空けられた。

次々と圧倒的に不利な数字が並ぶ上に、主力にも不安が垂れ込め、下克上は絶望的にも映る。しかし、球界関係者の間からは「短期決戦で何が起こるか分からないのは当然としても、今年は特に何が起きるか分からない。昨季の最下位だったヤクルトとオリックスが優勝するなんて誰が予想できたことか。巨人がどれだけ踏んだり蹴ったりになっても、どうなるかは分からない」との声も上がる。

前年最下位のチームがセ・パ両リーグで優勝を果たす史上初の快挙が達成されたことは事実。リーグ3連覇の夢破れた巨人にも〝番狂わせ〟は起きるのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社