捕手の投手起用、打順1日ずらし案…栗山監督の“奇策”、実現せず「本当に悔しい」

退任会見に臨んだ日本ハム・栗山英樹監督【写真:石川加奈子】

二刀流枠の創設を提案「昔の大選手でもできた人が絶対にいたはず」

日本ハムの栗山英樹監督が1日、札幌ドームで退任会見を行った。大谷翔平投手(現エンゼルス)を二刀流で育てるなど、球界の常識を覆す数々のアイディアを生み出した知将は「本当はもっといっぱい策があった」と打ち明けた。

“お蔵入り”になったプランの一つは、郡拓也捕手の投手起用だ。左腕の宮西尚生投手が登板した回に、ワンポイントでマウンドに上げるというもの。「ミヤ(宮西)に外野守備練習をしてもらって、郡を投げさせて、ひっくり返して、またミヤに戻すとか」。試合で実現することはなかったが、実際に郡をブルペンで投げさせ、投手コーチにも見てもらったという。

打線についても、1番から9番までの打順を9試合かけて一つずつずらすというプランを検討していた。「下位打線のところで全然点が取れないのでどうするか。上位打線で打順を捨てた方がいいんじゃないかという話もしていたので。それもやってみないとわからないところがありますよね」と既成概念に捉われれない柔軟な発想は、止まるところを知らない。

全ては、限られた戦力で勝つための努力だった。「もっといろんなことをやってみたかった。勝ちが重なっていくと、その手もすごく意味を持つことが多いと思うんだけど、それができなかったのは本当に悔しいです。ふざけているように見えたかもしれないですけど、うちのチームみたいな形で勝ち切るには、戦力を整えて余剰戦力をたくさん持って、という訳にはいかないので。そのためには、組み合わせたりとか、得意なところだけを使ったりとか。そういうところが必要だった」と振り返る。

いまだ新たな戦術を求めて頭をフル回転「昨日も夜ずっとノートを…」

二刀流の生みの親は、球団への最後の提案として“二刀流枠”の創設を呼びかけた。「内野手、外野手があって、来年から二刀流という枠も作ってくれって、球団には言って辞めようと思っています。2つやることによって生きる選手がいます。そのことをもっとみんな考えた方が良いし、昔の大選手でも二刀流をできた人が絶対にいたはず。それを見落としてたことを僕らは反省しないといけない。今からでも、絶対どこかにいるはずですし、探したい」と語った。

10年間の監督生活を終えても、頭の中はいまだに新たな戦術を求めてフル回転している。「昨日も夜ずっとノートを書いてました。監督をやっているとか、やってないとかではなくて、もっと野球を知りたいし、もっと選手たちを喜ばせてあげる方法を見つけてあげたいってだけなんです」。野球への情熱と教え子たちへの愛情は変わらない。

「このチームなら大丈夫。もっとみんながびっくりするような野球を新監督を含めてやってくれるはずなので。僕もそれを見ながら、こういうやり方があったか! と感じたいなと思います」と新庄剛志新監督がつくる新生ファイターズに期待した。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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