<南風>有縁社会

 誰にも看取(みと)られずに死亡する孤独死が問題視されている。40~50代でも増えており、年間推計3万人を超えると言われる。その背景には、つながりの希薄化があるようだ。

 少子高齢化の進展は、人との「つながり」の希薄化を生み、独居老人の増加、孤独死の増加などの社会問題を発生させている。五木寛之氏の著書『孤独のすすめ』にある「豊かな孤独」もあると思うが、多くは「望まない孤独」だ。

 現在の無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するために、サンレーでも「隣人祭り」を開催している。隣人祭りの内容は、地域の人たちが食べ物や飲み物を持ち寄り語らうなどさまざまだが、弊社では文化教室を介した交流が中心である。

 同じアパートやマンション、同じ地域の中で、普段あまり接点のない人たちであっても、気軽に交流できる場をつくり、知り合うきっかけを提供している。

 発祥の地はフランス。パリのアパートで老女が孤独死し、1カ月後に発見されたことが発端となった。今やヨーロッパを中心に世界で50カ国以上、年間3000万人以上が参加する。

 また、サンレーでは加入会員宅への訪問やPR活動を日々行っている。この巡回を社会貢献に活用できないかと考え、県内6市と協定を締結し、「地域見守り隊」に参画している。

 訪問した高齢の会員さまの具合が突然悪くなり、実際に救急連絡をしたこともある。見守りや声掛けを通して異変を察知し、迅速な連絡体制を整えることで、誰もが安心して暮らせる地域づくりを推進したい。

 人間関係が豊かなら、結婚式や葬儀にも多くの人々が参列するだろう。冠婚葬祭の儀式は人間が集まる営みに他ならない。地縁・血縁など、横のつながりを大切にする沖縄こそ有縁社会のモデルケースになると確信している。

 (佐久間康弘、株式会社サンレー代表取締役社長)

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