経済対策、社会保障…行方を注視 衆院選から一夜、栃木県内有権者の声

配送用の食料品を整理する小川理事長。社会保障施策などについて「党派を超えた連携」を求める=1日午後、宇都宮市内

 自公政権の継続が決まった衆院選から一夜明けた1日、栃木県内の有権者からは新型コロナ禍で疲弊した経済への対策や、社会保障の充実を求める声が上がった。与野党が公約で競った「給付金」だけでなく継続的な支援が必要との指摘も。争点化した選択的夫婦別姓を望む人は、今後の議論の行方を注視している。

 「一番に求めたいのは経済対策」。日光温泉旅館協同組合の赤澤正(あかざわただし)理事長(55)は観光業の救済を訴えた。紅葉シーズンを迎えても客足は例年の6~7割ほど。「借り入れた運転資金を返済しなければならない」と苦悩する。

 自民党は宿泊業について、事業継続や、コロナ後の時代に向けた新たな取り組みを支援すると掲げている。赤澤さんは、昨年実施され、手応えがあった国の観光支援事業「Go To トラベル」の早期再開に期待を寄せた。

 経済対策や社会保障施策では、格差是正などを目指す上での「分配」もキーワードとなった。当初から所得増を掲げていた岸田文雄(きしだふみお)首相は1日の会見で、税制などの優遇措置で賃上げを促進する考えを示した。

 県内外のひとり親を支援する宇都宮市御幸本町、NPO法人「ぱんだのしっぽ」の小川達也(おがわたつや)理事長(49)は「一時的給付などにとどまらない継続的な施策を」と求める。

 一人親世帯や非正規雇用者など社会的弱者に対する各党の公約は「具体性に欠ける」と感じた。自公が勝利したが、「知恵を出し合うことが大切だ」と党派を超えた連携を期待する。

 「また、だめだった」。選択的夫婦別姓の実現を望む足利市在住、女屋伽菜子(おなやかなこ)さん(27)は、自民党の勝利に声を曇らせた。自民党はこれまで消極的な姿勢を示してきた。国会での議論の進展を見守るつもりだが、期待感は薄い。

 白鴎大法学部3年大阿久拓朗(おおあくたくろう)さん(20)は、各党が公約に盛り込んだ子育てや教育施策に着目したが、「理想論ばかり」と映った。若い世代の将来の負担も気になる。「財源をどう確保をするのか。現実的な議論を期待したい」と注文を付けた。

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