スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.16 立川祐路さん

 2021年も、ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はTGR TEAM au TOM’Sの坪井翔選手から、スーパーフォーミュラでは監督でもあるTGR TEAM ZENT CERUMOの立川祐路選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークのようなものができないか……? という企画が編集部内で出てきたのが2月。第1回の石浦宏明さんから阪口晴南さん、新田守男さん、高木真一さん、さらに片岡龍也さん、柳田真孝さん、星野一樹さん、本山哲さん、吉田広樹さん、蒲生尚弥さん、大嶋和也さん、松田次生さん、織戸学さん、篠原拓朗さん、坪井翔さんと繋がっています。

 今回は坪井選手のスーパーフォーミュラでの監督である、立川祐路選手が登場です。SNS等一切やっておらず、なかなか“声”が聞こえてこないドライバーですが、どれだけ切り込めるでしょうか……? とりあえず行ってみましょう!

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■1回目の方が冒頭フラッと登場しました

──え〜、今回はよろしくお願いします。オートスポーツwebにて『GTドライバーお悩み相談ショッキング』なる連載をしておりまして……。
立川祐路さん(以下立川さん):アレね。最近会費とか取り出したヤツね。

──そうです。ぜひプレミアム会員にご登録ください(笑)。まあこのコーナーは無料でご覧いただけます。そんなこんなで、『笑っていいとも』の『テレフォンショッキング』みたいな感じでドライバーリレーを続けているのですが、坪井さんが立川さんにお悩みの相談に乗ってほしいと。
立川さん:そっから来たか。

──坪井さんのお悩みが『この先レーシングドライバーを長く続けていきたいけれど、立川さんはGT500でトップドライバーとして長年活躍していますが、長く続ける秘訣みたいなものはありますか?』というものでした。
立川さん:秘訣ぅ!? プロドライバーとして当たり前の話だけど、結果だったり、まわりを……。なんというのかな。納得させる走りがすべてですよね。そこなくして乗ろうと思っても続かないと思うので、それに尽きると思うんだけどね。

──立川さん、いまご……46歳じゃないですか。これは僕も不思議に感じているのですが、あまりトレーニングはしていないんでしたっけ?
立川さん:いま『50歳』って言おうとしたでしょ(笑)。まだそこまでいってないよ。46歳だよ。トレーニングは……あまり自慢できるようなことはやってないかな。とはいえ……。

<<ここで1回目の石浦宏明さんがフラッと登場>>

石浦宏明さん(以下石浦さん):次は誰に回すのか知りたいなと思って。知らない人に回すのかなと(笑)。
立川さん:ジェントルマンドライバーのどこかの社長にまわそうかな(笑)。

──絶対コネクションないでしょ(笑)。
立川さん:ない(笑)。話したこともない。話したことない人でもいいんでしょ?

──GTドライバーならいいですよ!
石浦さん:相手めっちゃビビると思いますよ(笑)。
立川さん:どうやってお金を儲けるかということを聞こうかなと。……まだ考えてないよ。
石浦さん:それはそれで(笑)。楽しみにしてます。

<<石浦さんフラッと撤収>>

立川さん:……で、何でしたっけ?

──トレーニングについてです。
立川さん:『やってます!』というほど自慢できるほどのことはしていないですけど、とはいえ、まったく家で寝たきりではないですけどね。

──立川さん、けっこうトレーニングの話を聞くと、ぼやかすじゃないですか(編注:昨年取材したときも、あまり多くは語ってもらえませんでした)。あまり言いたくない感じですか?
立川さん:言いたくないわけじゃないけど、言っても仕方ないし、別にそこをアピールする必要もないし、『オレはやってます!』みたいなものなんかアレだなと思って。言わないだけ。ただ、体力とかもそうですけど、レースのことを考えない日はないですよ。次のレースのこととか、走り方、もっとクルマをこうしてみよう……ということを考えない日はないです。

スーパーGT GT500クラスでZENT CERUMO GR Supraをドライブする立川祐路と石浦宏明

■必読! 立川祐路ならではの“こだわり”とあの言葉への考え方

──これは坪井さんも言っていて、前からワタクシも気になっていたのですが、他のドライバーはGT500で戦いながら、いろいろなカテゴリーに出るじゃないですか。でも立川さんは他のレースではぜんぜん乗らないですよね。それには何かこだわりがあるのですか?
立川さん:う〜ん。こだわりがあると言えばある。やっぱり自分が子どものころとか、レーシングドライバーになる前に見ていたようなトップドライバーは、本当にトップカテゴリーでしかやっていなかったじゃないですか。 あとは自分のなかで、“楽しみと割り切ってできない”というのもあるんでね。例えばS耐に参戦したとしても、“勝てないとイヤ”なんでね。チーム体制やクルマでも、スーパーGTをやっているからS耐や他のカテゴリーは“それなりにできれば、やっとけば”みたいなのはイヤなので。

──なるほど。じゃあ例えばなのですが、GT3でアジアでやっているレースで、良いドライバーと組んで『この体制なら絶対勝てる』というチーム体制ならちょっと考えたりします?
立川さん:それなら、ちょっと考えられますね。

──“勝てなければイヤ”なんですね。
立川さん:何かイベント的なスポット参戦ならまた別かもしれないですけどね。もちろんいろいろなカテゴリーに参戦して、いろいろなクルマに乗って技術を磨くことも大事だと思います。でも例えば、プロ野球選手が社会人野球には出てこないじゃないですか。

──出られないのもありますけどね(笑)。
立川さん:まあね。そういうイメージ。もちろん将来、真剣勝負の勝つか負けるかのレースから少し離れるときになったら、やる可能性はありますけどね。別にレースが嫌いなわけではなく、基本はレースが好きなので。でも今は、全力勝負のスーパーGTに気持ちを入れているということです。

──これは素人考えかもしれませんが、GT500以外のクルマに乗ると、走りがブレるとか切り替えが必要になるのがイヤなど、そういうわけで他のカテゴリーに参戦しないわけではないということですね。
立川さん:そういうわけではないです。ただ、やっぱり違うカテゴリーだとしても、勝てないとね。違うカテゴリーに急に乗って勝てなくて、他の選手に負けたりとか、ちょっと遅かったりするとけっこうショックを受けますね。やっぱり“勝ち”にこだわってやっているので『まあいいや』では終われないです。それだけの話です。

──立川さんなりのこだわり、良く分かりました。そして敢えて聞きたいですし、ファンとしても気になる部分と思いますが、立川さんにとって“引退”というものは考えたりは……。
立川さん:ありますよ。気づいたらこの歳ですからね。そりゃ意識しますよ。当然、現時点(※この取材はスーパーGT第6戦オートポリスの前に実施)のこんな成績で続けられるとも思っていないですし、さっきも言ったように、“勝つため”にレースをやっているので、『レースに出られればいい』という思いではないんでね。 自分の力がそうなのであれば、そりゃもう辞めます。若いときは若いときでそうですけど、いまはいまでダメだと『もう年なんじゃない』と思われる年齢でもある。より一層成績をきちんと残さないといけないと思っているので、自分の進退をかけてやるつもりではいます。もちろん、50〜60歳でGT500に乗っていられるとは思っていないんでね。坪井のような活きの良い選手もどんどんと出てきてるから。

スーパーGT GT500クラスでZENT CERUMO GR Supraをドライブする立川祐路

■次回は同世代のあのドライバーに繋がりました

(ちょっといまの答えは緊張しました)
──分かりました。そんなこんなで、立川さんお悩みはありますか?
立川さん:悩みね。え〜、どうやったらレースを長く……(笑)。

──来たお悩みそのまま転送じゃないですか(笑)。あとこのコーナーは悩みを別のGTドライバーにぶつけないといけないので、それを踏まえてお願いします!

<<ここからだいぶ立川さんの会話がウダウダしてきます>>

立川さん:難しいな。悩み……そんなにないですけどねぇ。ドライバーと言っても、GT500で言うとみんな自分より若いからなあ。いまGTに乗っているドライバーでしょ?

──いま乗っている人でお願いします。立川さんは悩みがあっても外には出さないタイプだと感じておりますが。
立川さん:基本レースのことか、勝てないことしか悩みはなくない? 基本的にはそれしかない。あと、『レーシングドライバーを辞めた後にどう過ごしていくか』みたいな。でもそれを現役に聞いてもなあ……。

──一度辞めた人でもいいですよ。本山哲さんとか、道上龍さんとか。
立川さん:本山さんはもう登場しちゃったでしょ? 道上さん……。いいけどね。ちょっと大迷惑をかけたことがあったからふざけたフリとかしづらいしなあ(苦笑)。

──? 大迷惑? ありましたっけ?
立川さん:富士スピードウェイの1コーナーでね……(2018年第5戦富士)。

──ああ〜。あれは別に仕方ないじゃないですか。自分も写真撮ったのに一瞬思い出せませんでした。あとは悩んでいそうな若者を紹介していただいてもいいですよ。
立川さん:石浦は出ちゃってるからな。

──最初に戻してもいいですよ。
立川さん:二度目の出演? 早くないですか(笑)。まずそもそも何を聞こうかな? 質問されるより聞くほうが難しいな。

──けっこうみんなそこで悩むんですよ。
立川さん:そうだよね。みんなそんなに真剣な悩みはないでしょ? どうしようかな……。(※この間1分くらい経ってます)まず聞く相手がね。同世代みんな監督とかになっているからな(笑)。(伊藤)大輔にしてもそうだし。大輔は平日何してるんだろう?

──元チームメイトで言うと虎さん(高木虎之介さん)もそうですしね。立川さんと同世代で現役だと本山さんか道上さんになりますね。
立川さん:レースで言うとそうかな。本山さんはもう出たけど、道上さんはまだ出てない? ドライバーを一度辞めた後、何もレーシングカーに乗っていない時期ってありましたっけ?

──1〜2年ありましたよ。ではそれを聞いてみましょうか。ちょっぴりホンダ系に回したいところもあるので、道上さんにしましょう!
立川さん:大丈夫かな? なんか若干気を使うところもあるんだよね。

──別にワザとじゃないですし、道上さんは気にしていないんじゃないでしょうか?
立川さん:いや、道上さんは大丈夫なんだけど。僕と道上さんが同じトークショーになるとそのことをネタに話を振っちゃっていますからね(笑)。ファンの方々にね。 じゃあ次回、『その節はどうも』という話し出しでお願いします(苦笑)。

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 そんなこんなで、楽しく話を聞けましたが、立川祐路選手の三度のチャンピオンらしい“こだわり”をお届けすることができたのではないでしょうか。そして次回は、ようやく(?)ホンダ系ドライバーに繋がりました。

 立川選手と道上選手は、1995年にナウモータースポーツ(道上選手がF3、立川選手がフォーミュラトヨタ)、2004年にフォーミュラ・ニッポン(Yellow Hat KONDO)でチームメイトになっている間柄でもあります。どんな回答がもらえるのか、乞うご期待!

ZENT CERUMO GR Supra
2018年第5戦富士 クラッシュしたZENT CERUMO LC500とマシンを下りた立川祐路

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