名前書き忘れ、なぜ「0点」? 長崎県内小学校のテスト 専門家、原因・結果 子どもと一緒に考えて

 名前を書き忘れたテストは「0点」-? 長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)に、小学生の息子がいる県内の男性から、教員の対応を疑問視する声が届いた。息子は両面の解答用紙の裏面に記名を忘れ、正答に○はついていたが「0点」と記されていたという。「テストは理解度の確認のために行うのでは?」。どんな対応が適切だったのか。

■フォローなく


 とある休日。男性は息子が週明けの学校の準備を済ませたか確認するため、ランドセルの中をのぞいた。出てきたのは、普段なら息子が自分から見せてくれるテストの紙。裏返すと、空白の記名欄には赤線が引かれ、正答は70点を超えるはずなのに「0点」と書かれていた。

 後日、男性が学校に事情を問い合わせると、校長は「(0点と書くのは)おかしいので担当教員に指導する」と話し、本来の点数を評価に反映すると約束。男性の息子は過去にも、同じ教員に無記名のテストを黒板に貼り出され、クラスメートの前で「取りに来るように」と言われたという。

長崎県内の男性は、小学生の息子が学校のテストで記名を忘れ、「0点」と書かれたことに疑問を持った(写真はイメージ )

 男性は進学が懸かる試験などに向け、名前を書き忘れないための指導の必要性は理解しつつ「教員が本人に直接説明し、注意すればいい話。0点とだけ書き、それきりフォローもしないのは教育とは言えないのでは」と指摘する。

■気付く支援を


 テストで名前を書き忘れたり、制限時間内に気付いてヒヤリとしたり-という経験は誰にでもありそうだが、小学生にとっては「0点」と書かれるショックは大きい。小学校での教員経験もある長崎大教育学部の教授2人に見解を聞いた。

 篠﨑信彦教授(66)は「先生の文脈で『その子のため』と0点をつけても、児童や保護者に理由が伝わらなければ意味がない」。児童のケアレスミスを防ぎたいという教員の思いも理解しつつ、「教員と児童、保護者との信頼関係が前提。お互いが日ごろから密にコミュニケーションをとる必要がある」と考える。

 木村国広教授(61)は「『0点』だけだと『罰』としての要素が目立ってしまう」と懸念。それよりも「なぜ名前を書き忘れてしまったか」という原因と、「名前を書かないとどうなるのか」という結果を、児童と一緒に考える必要があるという。木村教授は「『指導』というよりも(児童が原因などに気付くための)『支援』が大切では」と語った。(三代直矢)


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