鳥谷の引退決断はロッテへの恩返し…低迷チームの起爆剤になる可能性も

鳥谷チルドレンの奮起が期待される(東スポWeb)

自身の引退がチームを下克上に導くか。今季限りで現役引退するロッテの鳥谷敬内野手(40)が3日にZOZOマリンスタジアムで記者会見を行い「心残りはない。すっきりして終わる」とさわやかな表情を浮かべた。

阪神からの引退勧告を拒否して2019年限りで退団し、昨年3月にロッテに加入した。一軍での出場は今年6月6日が最後で7月6日に出場選手登録を外れるまで約1か月間、出番がなかったことで「チームの勝利に貢献できなかった」と引退を決断したという。

そんな鳥谷はプロ入り当初から華麗な守備と巧打でファンを魅了してきただけに、球界関係者の間では早くも「古巣阪神のコーチに」「ロッテに残って井口監督を支えてほしい」という指導者待望論が高まっている。

現時点で本人の去就は未定だが、CSや日本シリーズが始まる直前のタイミングで自ら球団に引退を申し入れた背景には「ロッテへの最後の恩返し」の意味合いが込められている。

ロッテは6日から本拠地で楽天とのCSファーストステージに挑むが、チームはシーズン最終盤に投打の低迷でまさかの失速。リーグ優勝を逃したばかりか、結局4連敗でシーズンを終えた。鳥谷の引退発表はそんなチームの重い空気を好転させるきっかけになる可能性が高い。

鳥谷自身はここ2年、チームの戦力として大きな成果こそ挙げられなかったものの、チームの精神的支柱として若手らに打撃理論や野球に対する姿勢を伝授。特に早大の後輩であるチーム主将・中村やプロ4年目ながら伸び悩む和製大砲・安田に対してはベンチやロッカーでことあるごとに助言を送り続けた。それだけにロッテOBの一人も鳥谷引退の影響をこう予測する。

「ロッテには鳥谷に指導や助言を仰いだ〝チルドレン〟が多数います。そういった選手たちが今回の引退をきっかけに奮起することは十分に考えられる。特に野手陣は世話になった分、何とかして鳥谷の有終の美を飾りたいと思っているはずですから。このタイミングでの鳥谷引退の一報はロッテがCSを勝ち抜くうえで起爆剤になるかもしれません」

わずか2年の在籍でも絶大な存在感を放っていたレジェンド。頂点を目指すチームに最後の力を注ぐ効果が期待されている。

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