ジワン神父の遺徳に感謝 「かくれキリシタン」ら 長崎・下黒崎で枯松神社祭

ジワン神父へ感謝を込めオラショ(祈り)を奉納する村上さん(右)=長崎市下黒崎町

 「かくれキリシタンの聖地」と言われる長崎市下黒崎町の枯松(かれまつ)神社で3日、枯松神社祭があった。禁教時代の信仰を継続している「かくれキリシタン」らが、神社に祭られる宣教師サン・ジワン神父の遺徳をたたえ、神父が隠れ住んでいたとされる岩場を訪れて潜伏時代に思いをはせた。
 神社祭は、潜伏キリシタンを先祖に持つかくれキリシタン、カトリック信徒、仏教徒が融和を図ろうと2000年に始まった。今年はかくれキリシタンのみで実施し、約50人が集まった。
 地元、黒崎かくれキリシタンの帳方(指導者)、村上茂則さん(71)が神社に向かって先祖代々伝わるオラショ(祈り)を30分かけて奉納。カトリックのミサはなく、訪れた信徒が祈りをささげた。
 村上さんは「先祖が世話になったジワン神父へ感謝の気持ちを込めて祈った。(神社祭は)今後も続けていきたい」と語った。
 神父は潜伏時代、同神社付近の岩屋に隠れ住み、亡きがらは同神社が立つ場所に埋葬されたと伝わる。参加者は、神父が潜んでいたと伝わる通称オエン岩まで、森を切り開いた約70メートルの小道を歩き、潜伏していたとされる巨岩に見入った。

ジワン神父が潜んでいたと伝わる岩場=長崎市内

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