沖縄のコロナ感染者が減少した要因は 感染もっと多かった? 専門家に聞く

 沖縄県内の新型コロナウイルスの新規感染者は1日、今年最少となる1人となり、感染状況は落ち着きを見せている。県内では8月25日にこれまでで最大となる809人を記録したが、状況は一変した。専門家に話を聞くとワクチン接種の普及や、全国的に感染が抑制されていること、県民の意識の高まりなどさまざまな要素が浮かんだ。ただ「これだけきれいに減少した理由はなかなか説明できない」(県の糸数公医療技監)と驚きもにじむ。

 県立中部病院の高山義浩医師は、中高年でワクチン接種が進み「感染が広がりにくくなった」ことを挙げつつも、若い世代も含めた県民全体で感染予防への理解と協力が得られたことが大きいとした。特に、9月以降、学校が再開されたが、ほとんど集団感染が生じなかったことを指摘し、「子どもたちの協力に助けられた」とする。また、コロナ下でもあまり行動を抑制しなかった人たちが、実際に報告されている以上に自然感染で免疫を獲得しており、感染拡大の勢いを弱めた可能性も考えられるとした。糸数医療技監は、沖縄と人の往来が多い「県外での流行が収まっている効果もかなり大きい」と話す。ただ、感染しても検査を受けていない人がいる可能性を示唆。身近に感染者がおらず「検査に行く動機付けがない」のが一因だが、「いずれにしても、感染は限局されている」との認識を示した。

 筑波大客員教授の徳田安春医師は、新型コロナの感染拡大が12月、4月、8月に山を迎える、4カ月周期の「季節性」があると分析する。ワクチン効果を認めつつも「ワクチンだけだとここまで急速な収束は説明できない」とし、感染ピーク時の感染者が実際の統計より大幅に多く、今の感染抑制につながっている可能性もあるとした。

 一方で徳田氏は、今年5月に高齢者向けワクチン接種が本格化してから半年がたち「免疫の減衰」が進むことを懸念した。国は3回目の接種を2回目の完了から8カ月以降とすることを示したが「これだと来年1月ごろの開始となる。(次に波を迎える可能性がある)12月に間に合わない」として対応を急ぐ必要性を訴えた。

 
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