どっきり発言からチーム作り構想まで ハムの“ビッグボス”新庄監督の会見一部始終

就任会見に臨んだ日本ハム・新庄剛志新監督【写真:荒川祐史】

「高い目標を持ち過ぎるとうまくいかない。優勝なんか目指しません」

日本ハムの監督に就任した新庄剛志氏が4日、札幌市内で会見した。襟高シャツとえんじ色のド派手スーツで登場し、持論を交えた語録を連発。呼称は「ビッグボス」にしてほしいと要望し、試合中のインスタライブ実施構想や、自身の現役復帰の可能性も示唆した。ノーカットの一問一答完全版は以下の通り。

「今日集まってもらいありがとうございます。1946年、今から75年前、横沢(三郎)監督が第1代目、そこから21人目の栗山監督、その次に22代目の監督として選ばれたことを嬉しく思います。選手兼監督として契約を結んでもらいました。あ、監督? 監督らしく、監督っぽい格好で来ました。これからは顔を変えずにチームを変えていきたいです」

――お帰りなさい
「あーただいま。帰ってきました。正直、自分が一番びっくりしています。僕でいいのかなという思いの反面、僕しかいないなと。日本ハムを、プロ野球を変えていきたいという気持ちで帰ってきました」

――今の率直な心境を
「2年前にトライアウトを受けるという発言をして、それから1年間海外でトレーニングをしました。トライアウト前に球団の方から『新庄さんお元気ですか。頑張ってください。いつかまた会える日を楽しみにしています』とメールが来た。よしよし選手に戻れる。そのオファーだなと思って受けました。でも、オファーが来ない。あら、来ない。選手復帰はできませんでしたが、1通のメールは必ず何かあると信じて1年間、2軍の選手を一生懸命勝手に勉強して……。こういう姿は必ず誰かが見てくれる。そうしたら10月12日になんと、僕が描いていた監督の話を頂いて、自分がやってきたことは、間違いじゃなかった。やってきてよかったという気持ちでした」

――どんなチームを
「優勝なんか一切目指しません、僕は。高い目標を持ち過ぎると選手はうまくいかない。1日1日地味な練習を積み重ねて、シーズンを迎えて何気ない1日を過ごして、9月あたりに争いをしていたら『さあ優勝めざそう』と。気合の入り方が違うと思う。そういうチームにしていきたい。優勝なんか目指しません」

監督決断はオファーから1秒「1年間それを目指してやってきた

――監督就任にあたり相談した人は
「相談するタイプではない。僕の人生、相談する人はいません。相談するのは自分自身で行動に移します。自分で決めました」

――オファーを受けてすぐに
「あー1秒、1秒。お願いします。やります。もう、すぐですよ。当然でしょ。だって1年間それを目指してやってきたんですから」

――決め手は
「いやいや、もう監督になりたい。バリで生活して日本ハムの調子が上がっていない3年間を見て俺の出番だろうという気持ちで過ごしていましたね」

――監督のイメージ、思い描いていることは
「イメージ的には堅い。真面目な顔をして腕を組んでやっているイメージだけど、これからは僕が監督像を変えていきます。やっていくうちに、全国のみんなが僕の監督像を作ってくれると思う。それを期待したい」

――名刺にビッグボスと書かれていた
「みなさん、監督と呼ばないでください。『ビックボス』でお願いします。選手も。バリ島でビックボスと呼ばれていたので。僕の人生はその時その時、こうしたいということに突き進んでいるだけ。小学3年生が中学生になったくらいですかね」

――野球との距離感
「引退して野球を見ることはほとんどなかった。ただ、今の若い子は時代に逃げている感じがする。いい意味でも悪い意味でも、向こう(バリ島)に16年間いたので、時代を分かっていない。時代の怖さ関係なく突き進めればいいと思う」

就任会見に臨んだ日本ハム・新庄剛志新監督【写真:荒川祐史】

「SNSは大事。試合中にインスタライブをさせてもらったら最高」

――トライアウト後は
「選手になりたかったが、最終的な目標はここ(監督)だった。本当に真剣に受けに行ったが、トライアウトでみなさんに注目してもらってファンを集め、次の年に監督になってファンが流れてきたら最高。その気持ちで受けました」

――最近の日本ハムの印象
「あまりないです。ただ、コロナもあってちょっと暗かった印象はある。僕が帰ってきたらには球場は満員になりますよ、そういう運命なので」

――どう色を出していくか
「やはり気持ちの面ですね。プロの世界、レベルはほぼ一緒。自分はメンタル面に関して引き出す力があると思う。鍛えながら、チームに投手3人、野手4人タレントを作りあげていけば楽しいチームになる。そういうタレントが生まれればチームは強くなっている。僕が監督になって、全員がドラフトでかかった選手と思っている、レギュラーなんか1人も決まっていない。新人、2年目、3年目の選手がキャンプで伸びたら、若い選手で固めるかもしれないし。開幕投手も決めていない。今年ドラフト1位の子が投げているかもしれない。そういう争いをどんどんさせたい」

――北海道の印象
「故郷の一つが北海道。住みやすいし、寒いのは好きな方。美味しいものも沢山ある。これから家を探して、いい家が見つかったら最高ですね」

――SNSでの発信について
「僕、至らないことよくあげるから。球団と話し合って、ルールを作ってもらって。本当はね、今の時代SNSはもの凄く大事。試合中にインスタライブをさせてもらったら最高かな。そのへんは詰めていくので、また報告します」

――ファンへのメッセージを
「暴れまっせー、ほんまに。楽しみにしてください。新しい野球を作っていきますので、こうご期待。あっちゃん(稲葉篤紀GM)とタッグを組みますが、僕たちは1年目。吉村前GM(現統括本部長)の力が大事になる、いてくれないと嫌だし、吉村さんの推薦でこの場にいられる。分からないことがあったら、相談して喧嘩しながら楽しく厳しくやっていきたい」

現役復帰も?「野球の勉強しながら体は作ってきた」

――チーム再建法やスローガンを
「言いたくないが、まあ天井から降りたいとは思う。俺だけではなく選手も一緒に降りたいというのは伝えてもいいかな。(スローガンは)『夢はでっかく根は太く』。土台をしっかり作って夢に向かって突き進んでいきたい」

――もう1度選手契約「代打・俺」の可能性は
「この1年、野球の勉強しながら体は作ってきました。あと1回トライアウトを受けるチャンスがあるので、今ちょっと考えています。そこで監督の僕が『あの選手いいやん』と、獲ったろうかなという考えは頭の中にあります。後は球団と話し合います」

――今日のファッションについて
「新庄剛志自身がファッション。洋服のファッションはあまり考えていません」

――今日はどのように
「新球場に行ったんですよ。たどり着いたときに鳥肌が立って、ここでプレーできる選手は羨ましい。今までいろんな球場を見てきたましたが、これは世界で話題になる球場になりますね。選手のモチベーションも上がるし、ウエートルームやサウナ、全部備わっているので期待できますね」

――改めて今の気持ちを
「最高でしょ。僕自身監督になれると思っていなかったし。でも、なった瞬間『やれる』と。やったるわ、見とけよという気持ちになっています」

背番号1は「僕が着けま~す、目立ちま~す」と“新庄節”も全開の会見に【写真:荒川祐史】

背番号1は「僕が着けま~す、目立ちま~す」

――今のユニホームについて
「ユニホームはチームの強さやオーラを出すので、個人的にはあまり好きではない。2006年の方がオーラがあったな。でも新ユニホームのオファーを出すし、みんなが取り入れてくれると期待している。みんなも期待してくれたら嬉しい」

――背番号は
「僕のイメージはやっぱり1番じゃないですか。1番を着けたい気持ちもあるけど主役は選手。スター候補を僕が育てて、その子に1を着けてもらいたい。その子たちが育つまでは僕が1番着けま~す。ありがとうございます。目立ちま~す」。

――今の夢は
「もう5、6個かなえているのであきちゃった。ないかな、今は。チームとしては世界一の球団、世界一のチームにしたい。夢ではないけど、でっかい目標として置いておきたい。ファンの力が大事であって、北海道と日本ハムが一緒に生活していけるような形になったら最高」

――変えていきたい部分は
「作戦面。ヒットを打たなくても点を取れるとか、作戦の面白さ、こんなやり方があるんだというものを発信して他球団に真似されるようになっていけば。選手が僕の考えを把握して、ついてきてくれないとできない。考えるのは楽しいし、行動、成功した時の嬉しさはたまらない」

――野村監督から受け継ぐものとは
「実は野球も話をほとんどしたことがない。プライベートの話をよくしていた。どこの洋服がいいんやとか、他愛のない会話をよくしていた。やっぱり僕の個性、アイデアを優先して、プラス色々な監督のいいところをミックスしてやっていきたい」

自分の考えを「本にして選手に渡そうかな」

――人間性について
「人間性は大事で、人の悪口を言わない。いただきます、ありがとうございましたを言える選手を育てたい。僕はちゃらんぽらんにしていますが、上下関係とかは親の教育でしっかりしたものを持っていた。そういうのをずっと続けて、皆さんに納得してもらってこういう立場に立たせてもらった。選手にはプライベートの生活は後に役立つよというのを教えていきたい。プレーはみんなすごくうまい。きっかけさえ掴めばドカーンといく期待はしている。森本稀哲はコーチに言われても「打ちゃああいんでしょ」と、そういう性格だったんです。これじゃあだめだと。『おい稀哲、来い』と。人間性を変えてレギュラーを取り、1億円プレーヤーになり、今は素晴らしい大人になっている」

――稲葉GMとはどんな話を
「ほぼほぼの球団は、GMと監督の仲が悪いと思う。ここは違う。GMには『GM兼左打者専用の打撃コーチをしてください』とお願いしている。僕も監督兼外野守備走塁コーチの気持ちでやる」

――選手に何を伝えたいか
「選手の顔と名前は全く知らない。ただ1年野球を勉強してプレーはしっかりインプットしている。顔と名前の答え合わせをして、いいチームを作りたい。キャンプに入る前にレギュラーはほぼ決まっていると思う。そういう気持ちでオフシーズンを過ごしてください」

――考えるチーム像は
「これまで17歳から34歳までプロ野球人生を送って、自分は頭の中が他の選手と違う。話をしても『まだそこのレベル?』という感じで合わなかった。早く選手に自分をインプットしてもらいたい。野村さんじゃないですけど、自分の考えを本にして渡そうかな。本を読んで新庄を早く知ってくれと渡していきます」(Full-Count編集部)

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