日本ハム新庄監督に託された2つのミッション 球団オーナーが明かす指揮官招聘の思惑

就任会見に臨んだ日本ハム・新庄剛志新監督【写真:荒川祐史】

畑佳秀オーナー「私自身胸が踊ったり、ドキドキハラハラ…」

日本ハムの新庄剛志監督が4日、札幌市内で就任会見を行い、「優勝なんか一切目指しません!」など45分間に渡って“新庄節”を炸裂させた。新監督に2つのミッションを託した畑佳秀オーナーと川村浩二球団社長は、開幕した“新庄劇場”を笑顔で見守った。

【実際の写真】新庄監督が報道陣に配った名刺は“まさかの肩書き”

ド派手なスーツにサングラスをかけて登場した新庄監督がいきなりボケた。冒頭のあいさつで「選手兼監督という形で契約を結んでいただきました」と発言すると、川村球団社長が「いえいえ、監督だけです」とすかさずツッコミを入れる。球団社長を巻き込んで笑いをとる前代未聞の会見スタートになった。

「ビッグボスと呼んで」「試合中にインスタライブをさせてもらったら最高」「選手と一緒に天井から降りたい」など次々に仰天発言が飛び出した。隣で聞いていた畑オーナーは「私自身、胸が躍ったり、ドキドキハラハラしています。一挙手一投足から目が離せない“ボス”だけではなくて、魅力ある選手を育成していただきたいと願っています」と温かい眼差しを注いだ。

人気、実力両面でチームを立て直すために新庄監督に白羽の矢を立てた。ここまで3年連続Bクラスと低迷し、観客動員も2017年の208万人がピーク。コロナ禍以前の18、19年も200万人には届かなかった。来年は札幌ドーム最終年となり、23年には北広島市に建設中の新球場オープンが待っている。

会見では次々に仰天発言が飛び出した【写真:荒川祐史】

川村球団社長「華やかな一方で、陰での努力を惜しまない方」

畑オーナーは「この重要な時期にチームを任せられるのは、北海道の初年度からの歩みをご存じで、北海道で初めて日本一の偉業を成し遂げた立役者であった新庄監督が最もふさわしいと決断しました」と説明。「北海道はもとより、プロ野球界、日本のスポーツ界に新しい風が吹き荒れると期待しています」と常識にとらわれない型破りな新庄スタイルを尊重する。

球団が監督としての資質を評価したのは、日本ハム選手時代の言動にあった。川村球団社長は「パフォーマンスなど華やかな一面が印象深い一方で、『札幌ドームを満員にする』『チームを日本一にする』と宣言され、それを有言実行するために、綿密な戦略を立て、陰での努力を惜しまないという方であることは当時を知る者の共通認識」と語る。04年の北海道移転直後はガラガラだった球場を満員にし、06年にリーグ優勝と日本一を成し遂げたサクセスストーリーの再現を期待する。

今回球団が新庄監督に託したミッションは2つある。一つは常勝軍団を作り、ファンに勝利を届けること。もう一つはファンサービスを実践して、ファンに喜びを届けること。「さらに、その順番を間違えないでいただきたいとも申し上げました。持ち前の実行力と常識にとらわれない発想力を持ってすれば、この2つのミッションは必ず成し遂げていただけるのではないか」と川村球団社長は大きな期待と信頼を口にした。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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