武野屋 別邸 ~ 記憶に残る料理と時間を提供する和食店

観光地の倉敷美観地区から西の方角へ歩くこと約5分。

立派な塀と白壁土蔵造りの建物が見えます。

敷地の広さと門構えを見ると、「お屋敷?なんの建物かな?」と思うかもしれません。

外からは中のようすがあまり見えないので、どのようになっているのか気になるかと思います。

実は、立派な建物の正体は飲食店!

敷地内には「武野屋 別邸」と「トラットリア自家製蕎麦 武野屋」があります。

気になるかたのために、しっかりと紹介しましょう。

敷地内に入ると別世界

敷地の周りには水が流れ、立派な塀が建物を囲っています。

さぁ、橋を渡って中に入りましょう。

敷地に入ると右手側に蕎麦屋のトラットリア自家製蕎麦 武野屋があります。

通常の本格的なせいろの蕎麦のほか、麺に蕎麦を使った創作パスタも人気のお店です。

トラットリア自家製蕎麦 武野屋の向かい側には武野屋 別邸があります。

2021年7月にオープンした武野屋の系列店です。

武野屋は商店街や住宅地に囲まれているので、敷地内はまるで別世界のように感じます。

敷地内には倉敷らしさを感じる白壁の建物や蔵、四季を感じる木々がていねいに植えられた中庭が。

武野屋の建物や庭を眺めているだけで非日常や特別感を味わえます

こんなすてきな場所でどのような料理が出てくるのだろう…。

自然と料理の期待値もぐっと上がります。

それでは武野屋 別邸へ向かいましょう。

倉敷らしさを感じる店内

さて、気になる武野屋 別邸の建物内へ。

中に入ると階段があり、一階席と二階席があることがわかります。

二階席では夏の間にかき氷を提供したり、一階が満席になったときに利用したりしているそうです。

丸窓と畳の「和」を感じる席

一階席はまず建物の構造のおもしろさを味わえます。

個室と通路を挟んで反対側には広間があるのですが、まるで建物の外にいるような空間!

倉敷の町並みでよく見かける白壁は外壁に用いられるものなので、建物内にあると不思議な感覚に。

特に白壁を見慣れている人は、建物の外か中なのかがわからなくなるかもしれません。

広間には数か所にテーブルとイスが置かれています。

座布団に正座だと足がしびれがちですが、イスだと楽ですね。

個室は、テーブルが2卓ある部屋が1つと、1卓のみが2部屋あります。

どの部屋も中庭に面した大きな窓があり、個室ながら開放感が。

景色を眺めながら食事ができます。

秋のランチいただきます2021のメニュー

せっかくなので個室で中庭の木々を眺めながら食事をすることに。

手前に桜、奥には蔵とトラットリア自家製蕎麦 武野屋が見える席でした。

桜の時期に来たくなる席です。

武野屋 別邸のランチは、秋のランチいただきますスタンプラリー開催期間中はランチいただきます専用メニューのほか、「庭園アフタヌーンティー」の2種類になっています。

ではランチいただきますのメニュー「武野屋別邸 手まり御膳」のなかみを見てみましょう。

▼ころころと丸い手まり寿司が洋皿に盛られています。

皿の下はデニムのマットで倉敷らしさがあると同時に、料理を引き立てる色の役目も。

▼寿司に汁物がぴったりですね。

汁物はシメジやゴボウ、大根が入っていました。

具は日によって変わるのだとか。

▼丸みのある和の器に入った、あつあつの茶碗蒸し。

表面にはうっすらと餡がかかっていて、出汁が効いています。

中にはゆり根、湯葉、鱧(はも)、銀杏、インゲンなど。

秋を感じる旬の食材がたっぷり。

▼小鉢の料理もひとつひとつていねいに作られています。

合鴨はローストされているので香ばしい一品。

しっかりと醤油のタレがしみていて、噛むたびにジュワ~と旨みが染みわたります。

▼串に刺さっているのは田楽。

白いほうは粟麩(あわふ)、緑はヨモギ麩です。

どちらもモッチリ食感で、甘みのある味噌が付いていました。

▼出汁巻きもありました。

こちら、岡山県産の黄ニラの出汁巻き。

ひたひたに出汁が染みている至福の一品です。

▼メインの寿司は6種。

ひとくちサイズのかわいらしいフォルムで、よくよく見るとさまざまな食材が使われています。

寿司は和の器が似合うという先入観がありましたが、洋皿にも合う手まり寿司でした。

▼イクラの載った寿司には、ヒラメ、二十日大根、キュウリ、ミョウガが使われていました。

見ただけでは何が入っているかわからない、食べて初めて食材がわかります。

さまざまな食材を一度に食べることで、複雑な味が生まれるのもおもしろいところ。

変わったネタもありました。

▼ナスと吉備高原産のコリンキー(カボチャの一種)にかつおをまぶした一品。

酢飯には生姜が入っていました。

酢飯は寿司によっては、ゴマ入りのものもあります。

どれもまったく異なる食感・味でわくわくする手まり寿司です。

ネタは時期によって変わるのだとか。

スイーツも外せない

ランチいただきますのメニューを注文すると、プラス700円(税込)でモンブランパフェと高梁紅茶のセットが食べられるとのこと。

これは食べないと!

つぎは食後のデザートへ。

単品注文は990円(税込)

▼パフェとともに出されたのはワイングラスに入った高梁紅茶。

岡山県高梁市で栽培・製造されている和紅茶です。

ワイングラスは見た目がおしゃれなだけでなく、カップに比べ紅茶の香りを楽しむことができます

トップにもみじをあしらった、秋を感じるモンブランパフェです。

モンブランは和栗を使用。

栗の風味がしっかりと感じられます。

▼モンブランの横に添えられているのは矢掛町産の麩をラスクにしたものなんだとか。

店のかたに教えてもらわないと麩だとは気づきませんでした。

キャラメル醤油の味付けの和風ラスクです。

パフェって中に何が入っているかなとワクワクしませんか。

武野屋 別邸のパフェにもさまざまなスイーツが隠れていました。

特においしい!と思ったのが、楕円形のシュトロイゼル。

クッキーを砕いたようなものをホワイトチョコレートでコーティングした、ザグザグ食感がおもしろいスイーツでした。

モンブランの下は4層になっていて、それぞれ異なるものなので味の変化を楽しめます

茶色の層がキャラメルソース、その下の白は生クリームです。

緑色は口どけの良い抹茶プリン。

最後はぷるぷるの蕎麦茶ジュレでした。

思わぬところで蕎麦茶に出会ったなと思いましたが、系列店が蕎麦屋なので納得です。

最後の一口まで楽しませてくれる秋ならではのパフェでした。

非日常と特別感を味わえる武野屋 別邸。

チーフマネージャーの武野あずささんにお話を聞きました。

チーフマネージャーの武野あずささんインタビュー

築150年の倉敷らしさを感じる白壁の建物、武野屋 別邸。

チーフマネージャーの武野あずささんにインタビューしました。

チーフマネージャー:武野あずささん

武野屋 別邸の誕生の経緯とこだわり

──武野屋 別邸が誕生した経緯を教えてください。

武野(敬称略)──

四季折々で変化する庭園を眺めながら、大切な人と特別な時間を過ごしていだきたいという想いから、武野屋 別邸は誕生しました。

目で見て楽しい、食べておいしい料理を提供できるように、職人が細やかにお皿を彩ります。

全国から厳選したこだわりの器を使用しており、器も楽しんでいただけたら幸いです。

庭園の景色が四季折々で変化するように、食事も季節に合わせた食材を使用し、目でお皿の上を散歩するように食事を楽しんでいただけたらと思います。

別邸では通年で季節のアフタヌーンティーをご用意も。

和食の職人とパティシエが共演し”最後までおいしい”にこだわったアフタヌーンティーをぜひお楽しみくださいませ。

提供:武野屋 別邸

この場所は倉敷美観地区からも近いので、地元だけでなく、観光客のかたも来られる場所です。

ここから倉敷・岡山の良さを発信して、知っていただきたいと思っております。

心に響く料理と接客を心がける

──料理や器だけでなく、建物も立派ですよね。

武野──

建物は築150年の歴史があります。

美観地区に近くて良い立地とこの建物だと期待値が高いと思うんです。

場所や建物の良さに負けないように、料理も接客もお客様の期待を裏切らないようにと心がけています。

少し日常を離れてゆっくりしたいときに来て、四季がうつろう庭を眺めながらお食事していただきたいですね。

庭が変化するように食事も季節によって変わります。

1回来て終わるのでなく、また次も行きたいと思っていただけるように。

そのためには変化して、四季を楽しんでいただけるようなメニューにしております。

提供:武野屋 別邸

──モンブランパフェについても教えてください。

武野──

パフェに入っているものは全部手作りです。

食べるたびに何かに当たって、宝箱のようにわくわくさせてくれるものにしております。

「これはなんだろう?下の層と一緒に食べたらどうなのかな」

そう思っていただけるように、作り手の遊び心のあるパフェにいたしました。

作り手の想いが詰まったパフェを楽しみながら作っております。

作っている人が楽しければ、食べる人にも想いが伝わりますよね。

──目指していることはありますか?

野──

ただ料理を出して終わりではなく、説明をして、料理や食材を知ったうえで召し上がっていただくことです。

知って食べるよりおいしくなりますよね。

私たちも食べておいしいことを知っているから「そうですよね」と想いを共有できますし。

それに想いを込めて作っているから、知ってもらいたいから、一つひとつていねいに説明したくなります。

お客様に喜んでいただけることが幸せですし、頑張れます。

なにかお持ちするたびに「わーっ!」って。

それが本当にうれしいです。

記憶に残る料理と時間を提供できたらいいなと思います。

店の名前は思い出せないけど、「あの時食べたあれってよかったよな」と記憶に残るものであってほしいですね。

提供:武野屋 別邸

庭園アフタヌーンティーにも力を入れます。

一年をとおして季節を感じるアフタヌーンティーを提供しますので、こちらも多くのかたに楽しんでいただきたいですね。

おわりに

チーフマネージャーの武野さんにインタビューをして、料理だけでなく、接客、器、庭づくりなどすべてにこだわりを感じました。

非日常を感じる建物で、目でも食べても旬を感じられるのはいいですね。

季節ごとに違う楽しみがあると何度も訪れたくなります。

四季を感じる店でゆったりと食事をしてみてはいかがでしょうか。

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