重要なのは“ヘソの下” 斉藤和巳&五十嵐亮太さんが語る投球の極意

ソフトバンクで活躍した斉藤和巳さん(左)とヤクルトなどで活躍した五十嵐亮太さん【写真:松橋晶子、荒川祐史】

斉藤和巳さん「深層にある腹圧をどれだけ高められるか」

プロ野球選手でも力を入れ続けることはできない。ジュニア世代であれば、なおさらだ。沢村賞2度の斉藤和巳さんと2004年に最優秀救援投手に輝いた五十嵐亮太さんは、持っている力を最大限に発揮するためには「力の抜き方が大切」と強調する。

【動画】斉藤和巳&五十嵐亮太さんが伝授する球速アップのトレーニング術

◇◇◇◇◇◇◇

2003年と2006年に沢村賞を受賞した元ダイエー、ソフトバンクの斉藤和巳さん。そして、ヤクルト在籍時の2004年に最優秀救援投手に輝き、日米通算906試合に登板した五十嵐亮太さん。2人が、元ヤクルト・古田敦也さんの公式YouTubeチャンネル「フルタの方程式」で繰り返した言葉は「丹田」だった。

「力を抜きながらも、入れるところは入れておかないといけない。最短で最大限に力を伝えるためには、力の抜き方が必要。ずっと力を入れ続けてもリリースポイントは走らない。どうやれば力を抜きながら必要な時に入れられるか。結局は、丹田。もっと言うと深層にある腹圧をどれだけ高められるか」

斉藤さんが力説するのは丹田を鍛える大切さだ。丹田は、へそより少し下にある気力が集まるとされる場所。現役時代、日々の練習だけでなく、ブルペンに入る前も腹圧を鍛えるトレーニングをしていた。「最終的には丹田で投げたい」と訴えるほど重要視していた。

五十嵐亮太さん「究極は丹田だけで投げる」

丹田は少年・少女でも、日ごろの生活から強化できる。何気なく立っている時も足や足の裏に力を入れるのではなく、丹田で立っている意識を持つ。丹田に力を入れられるようになると、肩の力が自然と抜ける。こうした感覚を覚えると、投球する時も無駄な力が抜け、効率的に力を出すことができるという。

五十嵐さんも「究極は丹田だけで投げる」と力を込める。体の中心にある丹田を中心に体を動かすことができれば、肩や腕に不要な力が入らず、パフォーマンスアップに加えて、けがも予防できると考えている。ただ、頭で理解していても身に付けるのは難しい。

五十嵐さんはジュニア世代のウォーミングアップやトレーニングにも、丹田を意識するメニューを推奨している。例えば、ヤクルト・青木宣親外野手も取り入れているという腹筋。体を半分起こして腹筋の上の部分を鍛えた後に、両足を揃えて真っすぐ伸ばして頭の方に上げて、体をV字にして腹筋の下の部分を鍛える。五十嵐さんは、このV字のバランスがうまく取れないと、投球フォームに違和感があったと振り返る。

また、腹圧のトレーニングでは呼吸を整えることが大切で、腹筋では息を吐きながら体を起こしている。腹筋を含めてトレーニングは回数が重要なのではなく「呼吸法を意識すると体の動きがスムーズになる。丹田で体を支えている感覚、丹田を動かしている感覚が生まれてくる」と語った。(記事提供:First-Pitch編集部)

【動画】斉藤和巳&五十嵐亮太さんが伝授する球速アップのトレーニング術

投手が「投げやすくなった」と絶賛 元プロが伝授、印象変わる捕手の構え方とは?

実は禁句?投手への「腕を振れ」 斉藤和巳さんが「誤解されがち」と語る理由

© 株式会社Creative2