専門家が分析するセCSの鍵は? 岡本和欠場なら代役に助っ人、梅野起用法も注目

巨人の岡本和真(左)と阪神のジェリー・サンズ【写真:荒川祐史】

全143試合で4番の岡本和が左脇腹を負傷、サンズは後半戦失速

セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが6日に同時開幕。セはレギュラーシーズン2位の阪神と3位の巨人が甲子園球場で激突する。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、両球団のキーマンを挙げる。

両球団はそれぞれ、主軸に出場の可否を含めて微妙な選手がいる。巨人は今季全143試合で4番を務めた岡本和真内野手、阪神はジェリー・サンズ外野手である。

岡本和はシーズン全日程終了後の練習中に、左脇腹を痛めた。「今季の巨人打線は、いかに岡本和の前に走者を出して打点を稼がせるかがテーマでした。その中軸が抜けるとなると、影響は計り知れません」と野口氏は指摘する。しかも、故障箇所が脇腹というのが“曲者”。「どんな動きをしても痛い所。関節と違って痛み止めも効きにくく、その上、1度痛めると長引くことが多い」と心配する。

一方、サンズは前半戦では「5番・左翼」に座り、阪神が首位を走る原動力の1人となったが、後半戦に入り失速。10月2日に出場選手登録を抹消された後は、2軍戦とフェニックス・リーグで調整してきた。「阪神打線はサンズが5番に座る形が、最も破壊力を発揮します。彼が本来の調子であれば、相手投手はその前の4番打者に対してもストライクゾーンで勝負せざるをえなくなり、好循環が生まれる」と分析。終盤サンズに代わって1軍昇格し、左翼のスタメンで数多く出場したのはメル・ロハス・ジュニア外野手だったが、野口氏は「両打ちのロハスは、左打席は良いけれど、右打席となると確率が下がる(今季左打席では打率.250、右打席では.148)。巨人で第2戦先発が予想される高橋優貴をはじめ、左腕が相手となると不安がある」と言う。

巨人のゼラス・ウィーラー(左)と阪神の梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

11試合連続スタメン落ちで今季を終えた梅野、取って代わった坂本

岡本和、サンズが万全に近い状態で出られるかどうかは、両チームにとって大きなポイントとなりそうだ

仮に岡本和がスタメンで出られない場合、代役の4番を務めるのは誰か。実績のある丸佳浩外野手、侍ジャパンの4番を務めた経験がある中田翔内野手もいるが、野口氏は「(ゼラス・)ウィーラーの4番・三塁は“あり”だと思います」と推す。今季のウィーラーは、左翼(84試合)と一塁(39試合)しか守っていないが、「もともと三塁が本職。何より明るい性格の彼が打つと、チームが一気に盛り上がりますから」と説明する。

阪神では、捕手の起用法も議論を呼んでいる。シーズン終盤、長年正捕手の座を務めてきた梅野隆太郎捕手が打撃不振などでベンチを温めるケースが激増。11試合連続スタメン落ちで今季を終えた。これに取って代わったのは、6年目の坂本誠志郎捕手だった。梅野が今季国内FA権を取得した背景もあって、注目を集めているのだ。

野口氏は「確かに、終盤の梅野はリードでもやや行き詰まっているところが見受けられました。首脳陣としては、あれだけ坂本を使い続けた以上、CSから梅野に戻すわけにもいかないでしょう」と予想。「とはいえ、梅野はずっとチームを引っ張ってきた選手ですし、CSの独特の雰囲気を知っているのも梅野。そのあたりが試合にどう影響するか」と見どころを語った。

ファーストステージは2戦先勝の3回戦制で、あっという間に終わってしまう“超短期決戦”。それだけに、起用法1つ1つから目が離せない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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