<南風>目標を定める

 初めて航空業界に興味を持ったのは、大学3年生の時に羽田空港地上職のアルバイトを経験したのがきっかけ。春夏冬休みの多客期に車いす旅客や一人旅の子どもなど、特別なお手伝いが必要なお客さまに対応した。地上係員の制服を着用し、業務の一部を担うため空港業務のさまざまな場面を垣間見ることができた。
 運行管理、旅客部・客室部・整備など、お客さまの快適で安全な空の旅のために、それぞれの職種の人々がプロ意識を持って働く姿に、この業界で働きたいと憧れた。
 人は目標が定まると、おのずと自己分析をする。自分に備わっているもの、足りないものを把握する。横浜の老舗ホテル・ニューグランドでの接客経験、空手や競技チアリーディングで培った体力、協調性などを強みとして、あとは語学力が必要だと確信した私は、ニュージーランドへの短期留学を決める。
 両親に頼み込み、かかる費用100万円は全額返済すると宣言し、後期試験のリポートは機内で仕上げ国際郵便発送するという強攻ぶりであったが、語学力を高めるという目的を達成することができた。費用は就職3年後に返済した。
 当時の新卒試験倍率は約20倍。1次試験が5人面接、2次試験が3人面接、3次試験が一般教養・英語試験、身体(体力)検査および個人面接となっていた。帰国後は社会情勢や業界動向・会社研究なども行い、無事合格。全日本空輸東京客室部所属の客室乗務員として6年間勤務した。
 「目標を定める」とそこに向かうエネルギーが増大する。何をすべきかが明確になり、努力する。私たちは日々の生活の中で、大なり小なり目的や目標を持って過ごしているものだ。今年も残り55日。1年の振り返りをするとともに、来年の具体的目標(ビジョン)を立てようと思う。
(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジム マネージャー)
 

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