30の新語・流行語

 小さい頃に歌ったのをうっすらと覚えている。作詞は阿久悠さん、作曲は小林亜星さん。〈♪トラのプロレスラーはシマシマパンツ はいてもはいても すぐとれる がんばらなくっちゃ…〉▲やたら元気な「ピンポンパン体操」という曲がはやったのは今から50年前で「がんばらなくっちゃ」は流行語になった。「脱サラ」「シラケ」という“新語”も1971年に生まれている▲遠く、懐かしい日常風景が目に浮かんでくる往時の流行語がある。今も用いられる、息の長い言葉がある。短命の流行語も山ほどある。さて、今年はどうだろう、と新語・流行語大賞の候補30語を眺めている▲新型コロナにまつわる言葉は今年も多い。「自宅療養」の人々を案じ、「副反応」に気をもんで、「黙食」が勧められた。身をすくめるように過ごした日々を思い起こす人も多いだろう▲東京五輪・パラリンピックでよく見聞きした言葉も、大谷翔平選手をたたえる言葉もあり、名場面が思い出される。その半面、コロナという暗雲をしばらく振り払い、心の沸き立つ時間を求めて、その活躍に目を凝らした気もする▲やたら元気でなくていい。はやり言葉でなくてもいい。心に刻まれ、心に残った言葉を寄せ集め、自分だけの「大賞」候補を挙げるのも今時分、いいかもしれない。(徹)

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