本当にロッテが有利? 楽天が勝機見出すポイントどこに…専門家がパCSを読む

ロッテ・井口資仁監督(左)と楽天・石井一久監督【写真:荒川祐史】

今季の対戦はロッテが15勝9敗1分けと圧倒、野口氏「やや分がある」

セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージが6日に同時開幕し、パ・リーグはレギュラーシーズン2位のロッテと3位の楽天がZOZOマリンスタジアムで対戦する。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、短期決戦の展開を読む。

今季の対戦は、ロッテが15勝9敗1分けと圧倒。特に7~9月は9戦9勝と負けなしだった。ファーストステージ第1戦先発の佐々木朗希投手は3試合1勝0敗、防御率1.35、第2戦先発が予定されている小島和哉投手も7試合3勝2敗、防御率3.11と抑えている。

直近の対戦となった10月27日(楽天生命パーク)でも、楽天が2-1で競り勝ったものの、ロッテ先発の小島は6回5安打1失点と攻略を許さなかった。野口氏は「レギュラーシーズンの戦いぶりを見た限りでは、ロッテの方にやや分がある気はします。短期決戦では、先発投手の出来が非常に重要。楽天としては、どれだけ佐々木朗、小島対策を練って臨めるかでしょうね」と指摘する。

ロッテはリリーフ陣も、国吉佑樹投手、佐々木千隼投手が守護神・益田直也投手へつなぐ“勝利の方程式”が確立されており、さらに唐川侑己投手も調子を上げている。

楽天・岸孝之(左)と松井裕樹【写真:荒川祐史】

松井裕樹の復帰が明るい材料「リリーフ陣にとっては非常に心強い」

一方、楽天投手陣では、第1戦先発の則本昂大投手以上に力を発揮しそうなのが、岸孝之投手だという。ファーストステージの舞台となるZOZOマリンで、今季2試合1勝1敗、防御率2.35。昨季は2試合2勝0敗、防御率0.53と相性がいい。野口氏は「ZOZOマリンは、上空ではバックスクリーンから本塁方向へ強い風が吹くことが多く、グラウンドレベルではこれがバックネットで跳ね返り、投手にとって向かい風になる。この風のお陰で、岸のようにスピンの利いたキレのあるストレートを投げる投手は、浮き上がる感じが増し、変化球にはブレーキがかかるのです」と説明する。

右太ももを痛めて8月下旬から離脱していた守護神・松井裕樹投手が復帰することも明るい材料のひとつ。「松井不在の間に穴を埋めた宋家豪投手、酒居(知史)投手を前倒し、例えば7回に大ピンチを迎えればマウンドへ送ることができる。リリーフ陣にとっては非常に心強い」と野口氏は指摘する。

松井が本来の実力を発揮できるようなら、リリーフ陣の安定感は両チーム互角。とはいえ、ロースコアの競り合いとなれば、盗塁、バント、進塁打を含めて点の取り方に幅があり、今季リーグトップの584得点を誇ったロッテがやや有利かもしれない。

いずれにせよ、ファイナルステージではオリックスが1勝のアドバンテージを持って待ち構えているだけに、両チームにとって日本シリーズ進出は至難の業。「ロッテの井口(資仁)監督は、2勝0敗でのファーストステージ通過を目論んでいると思います」と野口氏は言う。果たして、レギュラーシーズン同様の展開となるか注目される。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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