大田原市長選 相次ぎ表明 三つどもえ 現職、呪縛解き4選出馬 新人2氏、批判票争いに

津久井富雄氏

 来年3月13日告示、20日投開票の大田原市長選は三つどもえの選挙戦が濃厚だ。初当選時に「市長は3期12年」と訴えていた現職の津久井富雄(つくいとみお)氏(71)は1日、4選出馬を表明し、星雅人(ほしまさと)市議(37)=3期=も同日、立候補の意思を明らかにした。4日にはかねて出馬が有力視されていた前県議会議長の相馬憲一(そうまけんいち)県議(64)=5期=も続いた。3氏の出馬表明の背景を探った。

 衆院選翌日の1日午後6時、津久井氏の後援会役員ら約40人が市内の公民館に集まった。市議15人と、地元栃木3区の簗和生(やなかずお)衆院議員も出席した。

 津久井氏は6月、後援会から出馬要請を受けていた。対応について明言を避けてきたが、この日、はっきりと決意を口にした。「新しい大田原づくりをしたい。やりたかった、できなかった部分を成し遂げたい」

 自身が後援会総連合会長を務める簗氏が大差で4選を果たすなど、「環境が整った」との判断があった。

 市議会の前野良三(まえのりょうぞう)議長は、推薦の言葉として「東日本大震災など復旧復興に要した日々が長かった。私の評価では、3期どころか2期にも達しておらず、市長も完全燃焼していない」と強調し、「3期12年」の“呪縛”を打ち消した。

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 市長選を巡っては、津久井氏の去就とともに、かつて県議選で議席を争った相馬氏の動向にも注目が集まっていた。相馬氏は津久井氏と一騎打ちになることも想定し、衆院選後を見据えて、津久井氏の後に出馬表明しようと考えていた。

 しかし、津久井氏の後援会が会合を持った同じ日の夜、一足先に出馬表明したのは星氏だった。

 星氏と相馬氏は市議選、県議選で支援し合う間柄。共に市街地を地盤とし、支持者の重なりもある。周囲には、相馬氏を市長に推し、後任県議に星氏が収まるとの見立てもあったが、星氏は「人口減への対応には時間がない。若くて全力で働ける時間を市長として使いたい」と決断した。その上で「相馬さんを推すか、葛藤した」と明かした。

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 3日後の4日午前、相馬氏は市内の商業施設で記者会見し、出馬表明した。

 衆院選では、相馬氏を含む地元の4県議と簗氏とのぎくしゃくした関係が浮き彫りになった。相馬氏は「簗さんは津久井さんを全面的にバックアップするので、一対一でも厳しい。星市議の表明で、批判票が2分される。ますます厳しくなった」と率直に述べた。

 そして「政治環境は大変厳しいのは十分に知っている。それでも、多くの市民の期待の声に応えたい」と、きっぱりと語った。

 自民党3区支部長は簗氏だが、相馬氏は大田原、黒羽、湯津上の各支部に推薦願を出す予定だ。推薦を巡る自民の判断も注目される。

星雅人氏
相馬憲一氏

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