北谷を拠点「手ぶら沖縄観光」を バスも荷物も空港直結 トランジットセンター開設

 沖縄県北谷町を中心としたスムーズな観光の実現を目指す北谷観光MaaS(マース)事業で、5日、拠点となるトランジットセンターが北谷町美浜のうみんちゅワーフ内で開設された。那覇空港と北谷町を結ぶ直行シャトルバスが15日に運行を始める予定のほか、美浜エリアを回る自動運転カートなど公共交通の利用・連携を活発化することによって、渋滞緩和や町内の駐車場不足など社会課題の解決を目指す。

 既存のバスはホテルなどを経由するため、空港から北谷町まで約80分かかる。これに対し、新たな直行シャトルバスは片道40~45分で到着する。1日往復6便で、利用料金は大人1人1500円、子どもは750円で5歳以下は無料。

 空港のカウンターで手荷物を預ければ、配送業者がホテルやトランジットセンターまで運ぶため、手ぶらで観光を楽しめるサービスとなっている。

 到着後は、商業施設やホテル、ビーチなどをつなぐ乗り合いの自動運転カートで、人気の美浜エリアの観光を楽しめる。本島北部など他の地域への移動は北谷町内でレンタカーを借りることで、混雑する那覇空港で借りるよりもスムーズに観光に出掛けられるという。

 将来的には、旅行から帰る際に北谷町のトランジットセンターで飛行機のチェックインや手荷物を預け、直行シャトルバスで空港へ向かうサービスを構築し、町内の滞在時間を延ばすことで消費の活発化につなげる方針もある。

 事業は、北谷町や全日空商事などが参加する北谷観光MaaS共同事業体が実施する。幹事会社はまちづくりなどを手掛けるユーデック(東京)が務める。本年度の総事業費は6千万円。経済産業省の「地域新MaaS創出推進事業」に採択された。

 5日のオープンセレモニーで、野国昌春町長は「北谷町は交通の結節点で、観光、サービス産業が中心の町だ。MaaS事業は町の新しい魅力につながる。旅行者のみなさんが快適に沖縄旅行を楽しめるようになることを期待している」とあいさつした。

 ユーデックの馬場園克也代表は「観光客のモーダルシフト(環境、社会負荷の低い移動手段への転換)を進めたい。レンタカー移動だけでは、観光地は膨大な駐車場を作る必要がある。公共交通への乗り換えを進めることで、スペースを有効活用することもできる」と話した。

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