ヨコハマがフロントロウ独占。WedsSport宮田が自身2度目のPP獲得、リアライズ佐々木が続く【第7戦GT500予選レポート】

 2021年の実質的ラウンド3となった7月の第4戦に続き、今季2度目の開催となったツインリンクもてぎ戦が11月5日に開幕。戦績により搭載されてきたサクセスウエイト(SW)が半減となる今回の第7戦では、GT500クラス参戦全15台中1台を除いて“100%の燃料流量”で土曜午後の公式予選が争われ、前回惜しくも勝利を逃していた19号車WedsSport ADVAN GR Supraがリベンジの舞台を自ら整えるポールポジションを獲得。2番手にもリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが続き、初冬到来のシーズン終盤11月にヨコハマタイヤ装着車がフロントロウを占拠するスピードを披露した。

 週末を通じて全国的に快晴予報が続くなか、栃木県のツインリンクもてぎ上空にも澄んだ青空が広がった。そんな絶好のコンディションのもと実施された9時25分からの公式練習では、GT300クラスとの混走時間から首位を維持した8号車ARTA NSX-GT(SW:35kg)がGT500占有時間の予選シミュレーション合戦も制し、1分36秒715の最速タイムを記録。

 2番手にはサッシャ・フェネストラズが復帰2戦目を迎える37号車KeePer TOM’S GR Supra(SW:30kg)、以下ダンロップ装着の16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(SW:13kg)、17号車Astemo NSX-GT(SW:44kg)、64号車Modulo NSX-GT(SW:5kg)のトップ5となり、唯一の燃料流量リストリクター1ランクダウン措置が残る前回のもてぎ勝者、現選手権首位の1号車STANLEY NSX-GT(SW:60kg)はタイムを追わず10番手の結果となった。

■予選Q1

 公式練習後に行われたFCY(フルコースイエロー)テスト用の20分間でも、気温上昇の気配を見せていたトラック上は、午後に入っても日差しが途切れることがなく、GT300クラスQ1A組開始の14時20分時点で気温18度、路面温度29度まで上がり、午前とは異なる条件での勝負となった。

 14時53分のピットレーンオープンと同時に前回のもてぎ戦を沸かせた19号車WedsSport ADVAN GR Supraがまずはコースへ。その後は少し間を置いてホンダ陣営、ニッサン陣営が続き、4分経過を前に36号車au TOM’S GR Supraを最後に全15台がトラック上へと入っていく。

 するとピット待機組だった23号車MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生が、まだタイヤ発動を待つウォームアップラップだった自身計測2周目から1分41秒台を記録すると、続くラップで早々に1分36秒959の基準値を叩き出す。同じく隊列後方からコースインしていたSTANLEYの山本尚貴も、セッション残り1分を前に自身3周目で1分37秒283とし2番手へ。そのままラストアタックへと入っていく。

 ここで先行組の中から計測4周目で最初に36秒台の壁を破ったのは24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rで、高星明誠が1分36秒602をマークし首位に浮上する。さらに背後には同じタイミングで計測周回へと入っていたARTA野尻智紀、Red Bull MOTUL MUGEN笹原右京のNSX-GTが続くと、その牙城を崩すかのように12号車カルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴が1分36秒868で3番手へと割って入ってくる。

 10分間のチェッカーが振られるなか、こちらはハード側のコンパウンドを選択していたか、Astemoの塚越広大は計測5周目で1分36秒602と、なんと1000分の1秒まで首位高星のGT-Rと同タイムで2番手へ飛び込むと、ジリジリとポジションを下げていたSTANLEY NSX-GTはQ1突破当落線上の8番手まで下がってくる。

 そして最後の最後で自己ベストを更新してきたウエイティング組のENEOS X PRIME GR Supra、DENSO KOBELCO SARD GR Supraのトヨタ勢が立て続けに8番手タイムをマークし、燃料リストリクター1ランクダウンながら健闘した1号車STANLEYは惜しくもQ1敗退が確定。

 ニッサン陣営は首位の24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-R以下、12号車カルソニック IMPUL、23号車MOTUL AUTECH GT-Rの3台がQ2進出を果たし、ホンダ勢も17号車Astemo、8号車ARTA、16号車Red Bull MOTUL MUGENの3台がQ1を通過。トヨタ勢は6番手の19号車WedsSportと8番手の39号車DENSO KOBELCO SARDの2台のみという厳しいQ1結果となった。

2021スーパーGT第7戦もてぎ リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/佐々木大樹)

■予選Q2

 GT300クラスQ2を挟み15時31分から開始されたQ2では、19号車に代わりDENSO KOBELCO SARDのヘイキ・コバライネンが真っ先にコースイン。さらに2分を過ぎヨコハマタイヤ装着組のGRスープラとニッサンGT-Rらが続いていき、3分経過でミシュランタイヤ装着のMOTUL AUTECH GT-Rロニー・クインタレッリが8台の最後まで待機してピットロードを後にする。

 すると先行する24号車リアライズコーポレーション佐々木大樹が自身4周目で36秒フラットの最速タイムをマークすると、背後に続いていた19号車WedsSport宮田莉朋がさらに更新し、1分35秒台とコースレコードに迫る領域に突入していく。

 1周遅れてアタックに向かったMOTUL AUTECHが計測3周目で37秒台に留まるなか、24号車とは異なり連続アタックに向かったWedsSport宮田は、各セクターでさらにタイムアップの期待を抱かせる速さを見せる。

 しかし最終セクターでわずかにロスを喫し、コントロールライン通過で1分35秒893の自己ベストにわずか1000分の1秒届かない1分35秒894としてチェッカー。それでもこのタイムを破るドライバーは現れず、前回の第4戦で2位表彰台と惜しくも優勝を逃した雪辱を期すべく、まずは明日の決勝に向け最高のグリッドを手に入れた。

 その背後2番手にもリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが続き、ヨコハマタイヤが予選フロントロウを独占。2列目にはARTA NSX-GTとカルソニック IMPUL GT-R、3列目にRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、DENSO KOBELCO SARD GR Supraと各メーカーが入り乱れるグリッド順となり、最後のアタックラップでの走路外走行でベストタイム抹消となったAstemo NSX-GTはMOTUL AUTECH GT-Rの背後8番手で予選を終えている。

2021スーパーGT第7戦もてぎ 予選アタックに向かうWedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)
2021スーパーGT第7戦もてぎ GT500クラスのポールポジションを獲得したTGR TEAM WedsSport BANDOH

© 株式会社三栄