供述の信用性否定し無罪 横浜地裁判決

 同居していた少女に覚せい剤を使用させたとして、覚せい剤取締法違反の罪に問われた男性被告の差し戻し審の判決公判で、横浜地裁は16日、「共犯者の供述を信用することはできない」として無罪(求刑懲役2年)を言い渡した。

 根本渉裁判長は判決理由で、共犯者の少女(保護観察処分)の供述には変遷があると指摘。少女は当時、男性に愛情と憎悪の相反する感情を抱き不安定な精神状態だったとし、「男性に責任の一端を転嫁しようとしたと考えることができ、虚偽供述の動機がないとは言えない」とした。

 また、男性のスーツの内ポケットからは覚せい剤が付着したアルミ片が発見されるなどしたが、「それだけで共犯者に覚せい剤を使用させた事実を推認させるとは言えない」と述べた。

 男性は2014年4月、川崎市内の自宅で少女に覚せい剤を吸引させたとして起訴された。横浜地裁川崎支部は懲役1年6月、執行猶予5年としたが、東京高裁は「共犯者の公判供述の信用性の評価を誤った」として差し戻していた。

 横浜地検の林秀行次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

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