ロッテ佐々木朗希が大舞台で見せた凄み 専門家が分析「ほぼ2種類で…末恐ろしい」

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

6回10奪三振1失点、96球中63球が直球で28球がフォーク

■ロッテ 5ー4 楽天(CSファースト・6日・ZOZOマリン)

「2021 パーソル クライマックスシリーズ パ」ファーストステージ第1戦が6日、ZOZOマリンスタジアムで行われ、ロッテが楽天に5-4でサヨナラ勝ちした。ロッテは先発した佐々木朗希投手の6回4安打10奪三振1失点の快投が、最後に報われた。かつてヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、大舞台で改めて実証された“令和の怪物”の凄さを解説する。

やはり佐々木朗のポテンシャルは桁違いだ。初回1死、2番・岡島に対してカウント1-1から内角へ投げ込んだ直球が、プロ入り最速の159キロを計測。その後岡島からフォークで空振り三振を奪うと、続く3番・浅村にも159キロを連発し、見送り三振に仕留めた。

2回以降はやや球速を抑えたものの、6回まで96球を投げ、失点は自身の失策(一塁悪送球)による「1」のみだった。

球種は96球中、ストレートが63球、フォークが28球、スライダーはわずか5球だった。野口氏は「この日の楽天打線は異常に左打者が多かった(スタメン9人中7人)。右打者が多い場合は、外角へ逃げるスライダーがもっと増えるかもしれない」と指摘した上で、「いずれにせよ、ほぼほぼストレートとフォークの2種類で抑えてしまったのだから、末恐ろしい」と感嘆した。

「ヨーイドンで159キロ」相手を圧倒しショックを与えた球威

「CS初登板とあって多少の力みは感じたが、しゃかりきになって投げていたわけでもない。スピードに関してはもう少し出せる余力があったと思う」と見ており、すぐにでも160キロを超える準備は整っているようだ。

井口資仁監督が短期決戦の初戦先発に、あえて高卒2年目の20歳を指名した理由もここにあるのだろう。野口氏は「何しろ、ヨーイドンで159キロですから。相手を圧倒し、ファーストステージを通してショックを与えることができる。一方、もし調子が悪くて打たれたとしても、ベテランのエースがやられるのとは違い、若い選手のチャレンジだと思えばチームに与えるダメージは少ない。第1戦先発起用は妙手だったと思います」と称えた。

今年のレギュラーシーズンでの佐々木朗は、11試合3勝2敗、防御率2.27。中10~14日のインターバルを空けて先発するケースがほとんどだった。しかし終盤には1度、中6日を経験。10月14日のオリックス戦で6回86球を投げ5安打無失点だった。野口氏は「残された課題はリカバリー能力のみ。もし来季、シーズンを通して中6日で回れる体力がつけば、いきなりオリックス・山本、ソフトバンク・千賀と最多勝争いをしてもおかしくない」と評する。

「ロッテがこのままファーストステージを突破すれば、佐々木朗には中6日で、13日のオリックスとのファイナルステージ第4戦に先発するチャンスが生まれる」と計算する野口氏。もうワンランク上の大舞台は、来季へ向けた格好の試金石となるはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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