カネミ油症 被害者同士つながりを 下田氏、リモートで重要性指摘

カネミ油症の現状や課題について下田氏が説明したオンライン講演

 12月に開かれる「第8回公害資料館連携フォーラムin長崎」のプレ企画「いま改めてカネミ油症を考える」が6日、オンライン形式であり、油症問題を長年研究している下関市立大の下田守名誉教授が講演。「被害者同士などのつながり」の重要性を指摘した。
 フォーラムは、全国各地で公害研究に取り組む団体でつくる公害資料館ネットワークと実行委が、12月11、12両日に長崎大で開催。分科会では「カネミ油症」も取り上げ、被害者の代表らが被害実態などを語る。これに先立ってプレ企画を開き、約30人が参加した。
 下田氏は「カネミ油症の広がり」と題して講演し、事件の概要を説明。差別や偏見を恐れて家族などに隠し、医師にも症状を理解されにくいケースがあることから、「被害者が名乗りやすい状況を社会がいかにつくるかが課題だ」と指摘した。
 さらに、被害者が周囲に相談できずに悩んでいる現状があるとした上で、「身近に被害に苦しんでいる人がいる。被害者同士や他の人と病気や症状について話すことで精神的な支えにもなる。こうしたつながりが少しずつ生まれてほしい」と話した。

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