森山未來「冒頭の乱痴気騒ぎはまさに新宿のこのあたりです」

©2021 C&I entertainment

主演に森山未來を迎え、幅広い年齢層に共感されベストセラーとなった燃え殻のデビュー作待望の映画化『ボクたちはみんな大人になれなかった』。11月5日(金)よりシネマート新宿他にてロードショー&NETFLIX全世界配信開始となった。公開記念舞台挨拶イベントがシネマート新宿にて6日に開催された。ついに初日を迎えた本作の公開記念として、稀有の表現者で主人公・佐藤役を演じる、森山未來、バーテンダー・スー役のSUMIRE、佐藤とかつて長い時間を過ごした友人・七瀬役の篠原篤、本作の監督を務める森義仁が登壇した。

©2021 C&I entertainment

ついに公開初日を迎えた気持ちについて、まず主人公・佐藤役を演じた森山は「まさしく上映後の皆さんですからね、どこまで話していいですかね…」と気遣いながらも「冒頭の乱痴気騒ぎはまさに新宿のこのあたりですし、何気ない日常を繰り広げながら作られた映画です。皆さんに楽しんでいただけたかは分かりませんが…」と謙遜しながら挨拶すると、観客からは大きな拍手が寄せられた。

続いてバーテンダー・スー役を演じたSUMIREは「みなさん始めまして。この作品は、大人になっても甘酸っぱい青春のようなものを改めて感じさせてくれるような作品だと思うので、皆さんともこの気持ちをシェア出来ると嬉しいです」とコメントし、七瀬役を演じた篠原は「普段映画が公開するタイミングはとっても緊張するんですが、今日は僕よりも緊張している監督がいるのでなんだかとても嬉しい気持ちです。よろしくお願いします」、続いて今作が映画監督デビューとなる森監督は「こんな満席の会場で観に来ていただいて、本当に今日はありがとうございます。僕は中高サッカー部でゴールキーパーだったんですが、観客の皆さんはフォワードだと思う」とサッカーに例え、登壇者の森山、篠原から一同から「どういうこと?」とツッコミが入ると森は「観客の皆さんに最終的にゴールを決めてもらうということで…いい例えが出来たと思ったんですけど(笑)。キャストやスタッフだけでなく、皆さんのことは同じチームだと思っています」とユニークな表現で初日の喜びを語る。

©2021 C&I entertainment

本作で21~46歳まで演じ分けた森山を一言で言い表すなら?とMCから聞かれると森監督は「森山さんは“全身凶器”ですね。顔面凶器というワードがありますが、森山さんは全身を通じて、爪の先まで役を演じている。全身撮りがいがある俳優です」と熱弁すると、当の森山は、「僕は37歳なので、ビジュアル面でいうと服装だったり髪形、スキンケアなど技術的なことは本当にこだわりました。ただ、見た目や年齢の若さがどうこうというよりは、やはり25年間という、長いか短いかは人それぞれの期間で、佐藤がどういう存在と出会い、新たな自分と出会って、世界の見え方だったり、そういう経験を経て世界の見え方が変わっていく姿というのを自分の今までの体験から重ね合わせて役作りをしました」と自身の人生の経験が役作りに活きていることを明かした。

森山、SUMIRE、篠原3人でのバーの共演シーンの思い出について、森山は「新宿のゴールデン街での盛り上がりを映画の中でも出したいという思いから、リハーサルでも『お酒を飲んでやってみようよ』とお酒をリアルに飲みながら役作りをしていった」と撮影秘話を明かすと、篠原は「森山さんや僕らや山下敦弘監督など、珍獣のようなメンバーの中で撮影が行われたのですが、スーちゃん(SUMIRE)がいきいきしていたのもあのようなハーサルを通してだと思う」、一方SUIMIREは「皆さん珍獣とも言われていますけど、仕事の大先輩たちの中なのにあのシーンではなぜか本当に同世代の気持ちになれました。純粋に楽しかったです」と語り、篠原も「あのシーンでの空間は本当に落ち着きますね。僕はワイン1本開けてしまったりしました(笑)」と和やかな撮影の雰囲気を明かした。初共演となるSUMIREとの関係性について、森山は「スーというキャラクターは、ふいに現れてふいに消えていくというナチュラルな存在で。スーの役柄と、SUMIREちゃんのその存在感は通じるものがありました」とSUMIREの空気感とスーのリンクを語る。劇中で登場する『スワロウテイル』のポスターの意図についてMCから聞かれると、森監督は「僕が中学時代、岩井俊二さんの作品を観ていたり、Charaさんや浅野忠信さんもかっこいいなと思っていました。今回SUMIREさんに出演していただけたことも、素敵な偶然性があったんだなと思います」と劇中での化学反応を感じさせるコメント。

ここで、サプライズでかおり役の伊藤沙莉から観客に向けたメッセージムービーと、森山に向けた直筆の手紙が届けられた。伊藤から森山に向けた手紙では、「森山さんという憧れの人を前に、尻込みしてしまった自分もいましたが、未來さんが撮影時に裏表紙に手紙を書いた本をプレゼントしてくださり、それを渡してくれた時の見たことのないようなおどおどした表情を一生忘れられません。色濃く貴重な時間でした。見たこともない壁を共に乗り越える。一緒に乗り越えられたのが未來さんで本当に良かったです。本当に心からありがとうございました」とMCから読み上げられると、森山は「2カ月という短い撮影期間で、スーや七瀬や大島優子さん演じる恵とのシーンがまずあって、そこから一番好きだった女性のかおり(伊藤)とついに会うという流れの中で、沙莉ちゃんとのシーンはどう作っていけばいいのだろうか、どう過ごせば関係を豊かにさせていけるのだろうか。映画ではそれぞれのシーンが断片的に描かれていくので、とても悩みました。そこで、僕から本をお渡しして、そこから沙莉ちゃんに対しての思いも伝えていきました」と二人の関係を深めていくため、役作りにかけた思いを明かした。

最後に森山から観客に向けて、「本当に本日は観に来ていただいてありがとうございました。この映画は映画館で体感できて、さらにNetflixという日常に近いところでもまた違った楽しみ方が出来る作品です。原作の段階ではコロナの時代は描かれていないですが、映画ではコロナの時代を通して、そこで人と出会って、そこに自分がいて…という淡々とした日々が描かれている。映画になっている意味をすごく感じます。突飛な事件が描かれているストーリーではないのですが、それが今の時代ではエモーショナルに受け取られていくという意味をとても感じます。ありがとうございました」とメッセージを贈り、イベントは幕を閉じた。

『ボクたちはみんな大人になれなかった』公開情報

Netflix映画『 ボクたちはみんな大人になれなかった 』

森山未來 伊藤沙莉 東出昌大 SUMIRE 篠原篤 平岳大 片山萌美 高嶋政伸 ラサール石井・大島優子/萩原聖人

原作:燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮文庫刊)

監督:森義仁 脚本:高田亮

配給:ビターズ・エンド 2021/124 分/カラー ©2021 C&I entertainment bokutachiha.jp

©2021 C&I entertainment

© 株式会社ジェイプレス社