市の生活保護利用、母子世帯で大幅減 「削減の標的」市民団体が調査へ 京都・亀岡

弁護士の講演などで亀岡市の生活保護行政の問題を考えた集会(10月23日、京都府亀岡市内丸町・市総合福祉センター)

 生活保護利用者が全国や京都府の平均と比べ大幅に減少している京都府亀岡市で10月、市民団体の集会「市の生活保護行政を考えるつどい」が開かれた。弁護士や研究者らが講演し、特に母子世帯などでの大幅な減少を問題視した。調査団も結成され、関係者への聞き取りなどを通して実態を調べ、市や府に改善を要請していく。

 集会では、調査団共同代表に就いた生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤廣喜弁護士が、保護申請数を抑制する「水際対策」により北九州市で餓死や自殺が相次いだ過去の事例を説明した。同市では当時、他都市と比べ母子家庭の生活保護利用が極めて少なかったなど、異常な保護行政がデータに表れることを例示した。

 その上で亀岡市では2019年度の「母子世帯」と、主に稼働年齢(15~64歳)世帯とみられる「その他世帯」の利用が15年度比で半減していると指摘。全国動向と比べても大幅に減少していることから「北九州と同じ。母子世帯と稼働年齢に削減のターゲットを絞っており、分析が必要だ」と述べた。

 また生活保護制度は憲法25条に基づき無差別平等に受けられる市民の権利なのに、国会議員やマスコミのバッシングで利用しにくい雰囲気になっていることも問題に挙げた。申請は制度上、口頭でもでき福祉事務所に「受理しない権限」はない▽相談や申請に支援者が同席することは本人同意があれば行政が拒む根拠はない▽現在は新型コロナウイルス禍で国が利用要件を緩和している-ことなどを説明した。

 共同代表の吉永純花園大教授は「母子世帯の受給世帯減少は必ず子どもたちに影響する」と批判。子どもの貧困などにもつながるとして「亀岡市政の根本が問われている」と訴えた。貧困と生活保護について考える市民の会主催で約70人が参加した。

© 株式会社京都新聞社