横須賀・三笠公園のSL形「貯水槽」40歳 観光客らに今なお人気

前面から見た貯水槽。蒸気機関車にそっくりだ

 横須賀の観光名所・三笠公園(神奈川県横須賀市稲岡町)にある蒸気機関車(SL)に似せて造った同市の「緊急用飲料貯水槽」が設置から40年を経て今なお人気を集めている。一見しただけでは本物のSLと思えるほどの完成度で、同公園の記念艦「三笠」とともに観光振興の一翼を担っている。

 「この蒸気機関車は、いつか来る大地震のために、生活に欠くことのできない水を蓄えておくための非常用貯水槽。公園に避難してくる1万人の人たちに、1人当たり1日3リットルの水を約3日間配ることができる」と説明文がある。

 市上下水道局によると同貯水槽は1980年の設置。通常、貯水槽は地下に埋設するが、海に近い埋め立て地で、1~2メートル掘削すると海水がにじみ出し、タンクが浮いてしまう可能性があったため地上に設置したという。幸いなことに、この間、貯水槽が市民に活用されるような緊急事態は起きていない。SLを背景に記念写真を撮る観光客も多く、震災対策だけでなく、観光面でも重要な役割を果たしている。

 同局経営部の岸智弘さんは「当時の職員の遊び心もありSLの形になったが、市内に非常用飲料水を確保する設備があることを、市民だけでなく観光客の皆さまにも幅広く知ってもらいたい」と話している。

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