米No.1ラッパー主催フェスでの大量死亡事故 地元警察の捜査で「薬物犯罪」の可能性も浮上

フェスの主催者でもあるトラビス・スコット(ロイター)

米人気ナンバーワンラッパーのトラビス・スコット(29)が主催した音楽フェスティバル「アストロワールド」で起きた大量死傷者事故が、さらなる波紋を広げている。

トラビスの地元、テキサス州ヒューストンで5日(日本時間6日)に開催された音楽フェスで、観客がステージ前へ殺到。押しつぶされたとみられる観客8人が死亡し、数十人が負傷した。死者には14歳の少年が含まれているという。会場には約5万人の観衆がおり、事故の場面ではトラビスが出演していた。

ヒップホップ業界に大きな影響力を持つ米サイト「XXL」によると、ヒューストンのシルベスター・ターナー市長が6日(日本時間7日)に会見し、現場では麻薬の過剰摂取を止めるための薬「ナルカン」が何度も投与されていたと明かした。

「観客が薬物を注射されていた」という情報をもある。さらに地元警察署長のトロイ・フィナー氏は会見で「昨夜(会場の)警備員が市民を拘束しようと手を伸ばしたところ、首を刺されたとの報告があった」と証言。診察を受けた時に警備員は意識を失い、ナルカンを投与された。警備員は意識を取り戻したが、医療スタッフは警備員の首に、注射された際に残る痕を見つけたという。

亡くなった8人の死因については検視の報告を待っている状態で、薬物と事故の関係も不明だが、「警察はこの悲劇を犯罪行為として捜査している」(XXL)という。

フェスの責任者にあたるトラビスも、自身のSNSで声明を発表。「昨夜起こったことにものすごく打ちのめされました。アストロワールド・フェスティバルで起こったことで影響を受けた家族やすべての人に祈りをささげます」とし、ヒューストン警察の捜査への全面協力を約束した。

インスタグラムのストーリーズでは沈痛な表情で「常にファンのことを気遣っているが、昨夜は明らかに間違った方向に進んでしまった」などとコメント。一方で、米エンタメニュースサイト「TMZ」は「トラビスは何度かショーを中断して、意識を失った人や苦しそうな人を助けるように警備員に求めたという。だが、情報筋によると、彼はどれほどひどい事態か、理解していなかったようだ」と伝えた。トラビスは治療を受けている人が音楽フェスでありがちな脱水症状だと勘違いしていたという。

同サイトによると、トラビスのパートナーでセレブタレントのカイリー・ジェンナーも動揺。ショックの大きいトラビスに付き添い、慰めているという。

スニーカーブランドにも進出し、カリスマ的人気を誇るトラビスが絡んだ死亡事故だけに、全米中が騒然となっている。

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