大阪を拠点に活動する人気レゲエセレクター(曲をかける人)のレッドスパイダー・ジュニアが、11日にアルバム「変エルノ詩」をデジタルリリースする。現在の“レゲエ界最重要人物”の1人として知られるが、最近ではユーチューブチャンネル「ズンズンチャンネル」が大人気。レゲエ音楽の紹介はもちろん、吉本新喜劇の大人気ギャグ「乳首ドリル」をレゲエ音楽にしてしまった。そんなジュニアの「お笑いと音楽の融合」の裏側に迫った。
ジュニアの「ズンズンチャンネル」で話題となったのが「乳首ドリルをレゲエに乗せてみた」という企画だった。吉本新喜劇で活躍する吉田裕の大人気ギャグ「ドリルすな!」「ドリルせんのか~い!」をレゲエのリズムに乗せて曲にすると、驚がくの名曲となったため“神回企画”と称された。
「ユーチューブやる前に、新喜劇とコラボやらしてもらっていたんです。その流れでやったみたいな感じですね」とジュニアはその経緯を明かす。
本筋の音楽だけでなく、このバラエティー企画を行うことにはある意味も込められていた。
「レゲエって特殊で専門用語も多いし、けっこう浅くから深くまでいろいろなタイプの曲がある。ライトユーザーが聞きやすくするのも大事なんかなと思います」
現在バラエティー界を席巻しているお笑いコンビ「かまいたち」の山内健司もジュニアフリークとして知られる。
「山内君はずっとネタにしてくれてますね(笑い)。個人的にお笑いがめっちゃ好きなんですよ。かっこいいことは誰にでもできる。特に音楽では」と語り、さらにこう持論を続ける。
「俳優の窪塚洋介君は『卍ライン』という名前でレゲエやっているんですけど、ホンマの男前には、かっこよさでは負けるじゃないですか。だから、オレらは“素”で勝負するというか。演技せずに、自分らが『おもろい!』と思うことをやる人間が集まっているのかなと思います」
この「おもろい!」という感覚は、レゲエの本場であるジャマイカのアーティストに近い部分もあるそう。
「例えば『KENTY GROSS』っていうアーティストは、ホンマにあほなことや下ネタもするんです。でもそれはジャマイカに近いというか本質に近い部分がある」
もちろん、作品には誇りを持っている。アルバム「変エルノ詩」から先行公開された曲「麻の中の蓬(よもぎ)」は亡くなった事務所の先代社長への思いを表現したもので、客演にはMINMIや三木道三(現・DOZAN11)も参加。公開から1週間で20万回再生を突破した。
「大阪で音楽やるって、まだまだ不利な面も多い。でも、めちゃくちゃタレントはそろっています。もっと発信していかないといけないと思ってます」と、レゲエ界発展を願う。
最後は「ユーチューブだけではレゲエの面白さは分からない。1回、だまされたと思って現場(ライブ)に来てみてください。20年以上、現場主義でやってきましたから。絶対にハメます!」と呼びかけた。
ズンズンチャンネルから新しいレゲエブームが起きるか?
☆レッドスパイダー・ジュニア 大阪府出身。1995年に活動開始し、レゲエセレクターとして日本武道館ワンマン公演を実現させるなど、レゲエ界で不動の地位を築いている。アルバム「変エルノ詩」は所属事務所「カエルスタジオ」に所属するディージェイ(Dee Jay=歌い手)のAPOLLO、KENTY GROSS、NATURAL WEAPONとの4人で制作。芸能界でもファンが多い。