編集ノート(2021年12月号)

ようやくコロナの感染者数が減った。10月1日に緊急事態宣言が解除されると、徐々に人流が戻り、人と人との交流に価値があることを改めて実感する日々を過ごしている。もちろん、リモートの価値も再確認する機会になっており、対面とリモートの使い分けが生産性アップの鍵を握る。ただ、この平穏は束の間かもしれない。化粧品の対面販売が上向くかどうか。アフターコロナの動きを考える上で、大切な時期だとも言える。もう一つ、アフターコロナに向けて気になるのは、各国の金融当局の発言だ。欧米はテーパリング(債券購入プログラムの段階的縮小)あるいは利上げ開始の議論が盛んだが、日本ではあまり話題にならない。先進国で唯一、所得が上がらず、周回遅れのレッテルを貼られている。短期的には、円安と原料高のダブルパンチで、今冬の消費が冷え込むのが心配。中長期では、欧米との経済格差が広がれば、日本の生活者の購買力は一段と低下するのが怖い。客単価を上げたいドラッグのバイヤーは「コスパ重視のお客が増えている」と先行き不安を語る。高価格と低価格の二極化という化粧品市場のバランスは揺らぐのだろうか。とはいえ、安すぎる商品は、海外進出が難しい。コスト面もさることながら、競合が増えているから。国内でも、海外でも勝てる商品づくりは一段と難しくなる。その最適解はどこにあるのだろうか。★

月刊『国際商業』2021年12月号掲載

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