プロボクシング、スーパーミドル級の世界4団体統一戦が11月6日(日本時間7日)、米ラスベガスで行われ、世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング機構(WBO)同級王者のサウル・アルバレス(メキシコ)が、国際ボクシング連盟(IBF)王者のケーレブ・プラント(米国)を11回TKOで破り、同級史上初の統一王者となった。
アルバレスはカネロ(赤毛)の愛称で呼ばれ実力、人気を兼ね備えた第一人者。全階級を通じ、王者の格付けをするパウンド・フォー・パウンド(PFP)で現役最強という声が高かったが、今回の勝利でその評価がさらに前進したと言えるだろう。
戦前の予想ではアルバレス有利とみられていた。しかし、プラントの実績を考えた場合、勝つのは容易ではないという意見があったのも事実だ。
アマチユアで豊富な経験を積んだプラントは2014年5月にデビュー。周囲の期待通りに頭角を現し、19年1月、IBF王座を獲得。その後3度の防衛に成功し、細かなジャブ、スピードある連打でここまで21連勝(12KO)と無敗を続けていた。
アルバレスは「歴史に残るような試合をしたい」と気力充実のコメントを残し、リングに上がった。
序盤は相手の動きをじっくりと読み、中盤からプレッシャーをかけていく。6回以降、踏み込みの鋭さが目立ち、プラントのスタミナを奪った。
特に得意とするボディーブローが効果的で、プラントはいかにも苦しそうだった。
11回、アルバレスが勝負に出た。まず左フックで相手のバランスを崩し、右アッパーで最初のダウンを奪った。
プラントは何とか立ち上がったが、明らかに効いている。ここを逃すはずがない。左右の集中打で2度目のダウンを奪うと、レフェリーが試合をストップした。
アルバレスは何度もガッツポーズを繰り返し、全身で喜びを表現した。
試合後のインタビューでは「ここまで簡単ではなかった。自分を支えてくれたチーム、家族に感謝したい。メキシコのための勝利であり、歴史を作ることができた。本当にうれしい」と言葉が弾んだ。
戦績は60戦57勝(39KO)1敗2分け。念願の王座統一を果たし、次の目標に注目が集まる。
その質問には「しばらく休みたい」。激闘を終えたばかりの王者は、少年のように無邪気な笑みを浮かべた。(津江章二)