娘の死は事故か、自殺か、殺人か 湊かなえのミステリー小説「母性」 廣木隆一監督で映画化決定

湊かなえの累計発行部数90万部を超えるミステリー小説「母性」が、廣木隆一の監督により映画化されることが決まった。2022年の秋に公開される。

湊かなえの小説「母性」は、ある女子高校生の遺体が見つかったことから始まる、母と娘をめぐるミステリー小説。湊かなえは、2007年に「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。2009年には「告白」が第6回本屋大賞を受賞し、史上初のデビュー作でのノミネート・受賞を果たした。発行部数は300万部を超え、のちに映画化された。その後も「贖罪」「望郷」「豆の上で眠る」「ユートピア」「落日」など、数々の作品を世に送りだしてきた。そんな湊かなえが、「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」と言うほど心血を注いだ作品が「母性」だ。

監督を務める廣木隆一は、1982年に映画監督デビューを飾り、1994年、サンダンス・インスティテュートの奨学金を獲得して渡米。帰国後に発表した「800 TWO LAP RUNNERS」で文化庁優秀映画賞ほかを受賞すると、国内外40以上の映画祭で数々の賞を受賞した「ヴァイブレーター」のほか、「余命1ヶ月の花嫁」「軽蔑」「さよなら歌舞伎町」「ナミヤ雑貨店の奇跡」「ノイズ」など、数多くの映画を手掛けてきた。近年はNetflix作品「火花」「彼女」が世界配信されるなど、デビューから約30年間に渡り、第一線で活躍を続けている。

映画化に際して湊は、「脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました」「原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心から嬉しく思います」と、喜びと期待の気持ちを明かしている。廣木隆一監督は、「湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめ下さい」とコメントを寄せている。

母と娘役をはじめとするキャストは、今後発表される。

【コメント】

■原作:湊かなえ
永遠に愛され、庇護される立場(娘)でありたい母親と、その母親から愛されたい娘の物語です。毒親でもなく、虐待でもなく、だけど大切なものが欠けた関係。それを、自分が母親と娘の両方の気持ちを持っているあいだに書きたいと、このテーマに挑みました。ちなみに、今はもうどちらの気持ちも持っていません。
映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました。しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました。一つ一つの場面が、役者の方々の演技や表情で、受け止め方が大きく変わってくる繊細な構成において、どのような感情を湧き起こさせてもらえるのか。原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心から嬉しく思います。

■監督:廣木隆一
湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することが出来て嬉しく思いますと同時にプレッシャーでもありました。母親と娘の話なので僕で大丈夫なのか心配でした。反面、どんな親子なのか興味あふれる物でした。でも、湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめ下さい。

■エグゼクティブプロデューサー:関口大輔
湊かなえさんの小説が大好きで、いつか映像化に挑戦したいという夢を長年抱いていました。そして「母性」と出会い、どうしてもこの小説の映像化を提案してみたいと思いました。
湊さんの小説は、読むと脳内で不思議な化学反応が起き、読者それぞれの世界観が作られるのが魅力です。その世界観を大切に映像化するには、様々な才能が結集する必要があると思いました。そして今回、廣木隆一監督にオファーをして快諾をいただいた時、この小説を映像化できるという確信を持てました。
湊さんの素晴らしい原作、廣木監督の才能と独特の演出が合わさって、映画「母性」が完成します。
今まで見たことのないような世界にお客さんを引き込む意欲作です。
是非、映画館でこの世界を体験していただければと思います。

【作品情報】
母性
2022年秋全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2022映画「母性」製作委員会

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