【北京パラ】村岡桃佳 夏冬〝二刀流〟の集大成…陸上経験し改めてスキーが好きに

北京大会ではスキーで2大会連続のメダルを目指す(左写真=日本障害者スキー連盟提供)

次なる挑戦へスタートを切った。今夏の東京パラリンピック陸上女子100メートル(T54)で6位入賞を果たした村岡桃佳(24=トヨタ自動車)は、来冬の北京パラリンピックに向けて始動。2018年平昌大会のアルペンスキーで金を含む5個のメダルを獲得した冬の女王が“二刀流”のサクセスストーリーを完結させる。

まさかの事態にもめげなかった。当初は20年夏まで陸上に励んだ上で、スキーを再開する予定だった。しかし、新型コロナウイルス禍の影響で東京大会が1年延期。19年から本格的に取り組んできた陸上を断念すべきとの声もあった。それでも、村岡は「可能性がある限りは続けたい」と奮起。退路を断って挑んだ東京大会で悲願の決勝進出を果たし「2年半つらくて苦しかったけど、すごく楽しかった」と笑顔を見せた。

ただ、いつまでも余韻に浸っているわけにはいかない。「東京大会が終わった瞬間から北京大会への動きだしをしていかないといけないので、各所からバーッと連絡がきた(笑い)。準備をし始めて、少しずつ気持ちがスキーの方に切り替わっていった」。北京大会まで残された時間は4か月あまり。10月下旬の欧州遠征から雪上でのトレーニングを再開した。

道具の調整、体づくりなどを並行しながら大一番に向けて調整を行っていく中で「東京大会から半年たたないうちに北京大会が迫っていることへの不安はある」と本音を口にしながらも、東京大会に向けての2年半は、村岡にとって大きな財産となったという。

「一度スキーから距離を置いて、昨季久々に雪上へ上がった時に、私のスポーツの原点はスポーツを楽しくやって、誰かと一緒に同じフィールドで戦えるのがうれしいという気持ちだと気付くことができた」。陸上を経験したことで、改めてスキーの楽しさを実感したのだ。

19年に決断した“二刀流”への挑戦。「東京大会で決勝に進めたことでやっとスタートに立てたと思う。二刀流の集大成として位置付けている北京大会の目標としては、メダル獲得を目指していきたい。東京大会が終わった時に感じられたやり切った気持ちや、すがすがしさは今も心に残っている。同じように北京大会でもゴール後に笑ってこの挑戦を終われたらいいなと思う」

最高のフィナーレを迎えるためにも、ここで歩みを止めるつもりはない。

☆むらおか・ももか 1997年3月3日生まれ。埼玉県出身。4歳の時に横断性脊髄炎を発症し、車いす生活となった。小学校3年時にチェアスキーと出会い、中学2年から本格的にスキーを始めると、2014年ソチ大会に出場。18年平昌大会では、金メダルを含む5つのメダルに輝き、紫綬褒章を受章した。19年5月からは、陸上への挑戦を決意。今夏の東京大会では陸上女子100メートル(T54)で6位入賞を果たした。来冬の北京大会では2大会連続のメダル獲得を目指す。

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