「秋篠宮」商標登録の中国がTPP加盟なら無法地帯に 無印良品裁判では〝本家〟に賠償命令

すでに商標登録されている秋篠宮さま(東スポWeb)

中国が環太平洋連携協定(TPP)への加盟を申請しているが、加盟するには商標を含む知的財産保護に関しても一定の国際ルールが適用される。しかし、中国といえば商標について様々なトラブルがある。中国現地企業が「鬼滅の刃」「眞子さん」「秋篠宮」などを片っ端から商標申請し、いくつかが通ってしまっている。さらに先日、中国の裁判所で「無印良品」について仰天判決が出てしまった!

日米中、台湾など21か国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)のオンライン形式の閣僚会議が8日、2日間の日程で始まった。日本からは萩生田光一経済産業相が出席し、中台双方が9月に加盟申請し注目が高まるTPPに関し、自由貿易などを巡る高水準のルールを維持する重要性を強調した。

TPP加盟交渉の開始には加盟国の同意が必要。中国は国有企業への優遇措置などが加盟に向けた課題になるとみられ、各国への支持の働き掛けを強めている。

また、TPPに加盟するには知的財産保護に関しても高水準の国際ルールが適用されるが、中国は商標無視の“パクリ文化”だった。習近平国家主席の下、違法コピーDVDの排除や、商標審査の厳格化を行ってきたが、つい最近、衝撃判決が出た。

かつて日本の「無印良品」を展開している株式会社良品計画が中国に進出する際、「無印良品」というブランド名を先に商標登録していた北京の中国企業に提訴され、本家であるはずの良品計画が敗訴したことがあった。

その後、良品計画は2019年、中国企業に商標を“抜け駆け登録”されたという声明を発表。それに対し、中国企業が良品計画を名誉毀損で提訴し、今月4日、北京市朝陽区人民法院(裁判所)は良品計画に対し、40万元(約700万円)の支払いを命じる判決文を公表した。

中国企業が「無印良品」を中国で商標登録の出願を行ったのは2000年4月のこと。布などの商品分野で「無印良品」のブランド名が商標登録され、良品計画は中国内で、布・タオル・ベッドカバーなどの商品に、「無印良品」というブランド名が使用できなくなっていた。

ユーチューブチャンネル「地球ジャーナル ゆあチャン」で日中の情報を発信している中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「日本同様、中国の商標登録も先願主義であるため、一度登録されてしまった商標を取り消すには、訴訟を行うしか方法はなく、長い時間がかかるだけでなく、今回のように敗訴したり、逆に名誉毀損で訴えられるリスクがあります。中国はTPPへの加盟希望を表明していますが、知的財産権の保護が大きな課題となっています。中国がこうした問題に今後どこまで柔軟な対応ができるのか、TPP加盟国は注視していかなくてはなりません」

名前を横取りした企業が本家を訴えるという前代未聞の裁判で本家が敗訴し、さらに賠償金まで支払えという裁判所命令…。さすがに中国のネットユーザーからも「中国企業が展開していた無印良品の商品を今まで日本の本家のものだと思っていた。品質が悪くおかしいと思っていた」「中国人の立場から言うと中国の無印良品を支持したいけど、国際的な立場からするとやはり日本の無印良品の主張が認められるべき」などの批判が出ているという。

© 株式会社東京スポーツ新聞社