高江テント撤去、防衛局が所有者に連絡求め張り紙 市民側は応じず

 【東】米軍北部訓練場N1ゲート前でヘリコプター着陸帯建設工事に反対する人たちのテントが撤去された問題で、沖縄防衛局がテント所有者に連絡を求めていることが8日までに分かった。過去3回撤去したテントなどを引き渡すとして、現在設置しているテントに文書を貼り付けている。

 市民は「所有者を名乗り出させようという意図があるかもしれない」と述べ、防衛局の呼び掛けには応じない考えを示した。

 市民らによると文書が貼られたのは1日夜とみられる。過去3回テントなどが撤去された県道70号の路側帯は、日米地位協定で県の共同使用が認められている場所としている。市民らは撤去の違法性を訴えてきたが、文書には「ここは北部訓練場の施設・区域だ」とした上で、2022年1月31日までに所有者が現れなければ所有権を放棄したとみなして破棄すると通告している。

 沖縄防衛局の過去3回の撤去のうち、愛知県警の機動隊員らによる2016年の撤去について、名古屋高裁判決は「違法である疑いが強い」と判示している。本紙は8日午前に防衛局に違法性などについて質問を送ったが同日午後6時までに回答はない。

 N1ゲート前で監視活動を続ける「『ヘリパッドいらない』住民の会」の清水暁さんは「張り紙の内容で事実を歪曲(わいきょく)している。路側帯は共有地だと思う」と指摘。「(名古屋高裁の)判決は『機動隊が行ったテントと車両の撤去には法的根拠がない』となった」と述べ、防衛局の対応に疑問を呈した。

 米軍が撤去した備品などは北部訓練場内で破損した状態で確認されたことから「返却はできない状態だと思う」と述べた。

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