10月は32年ぶりの500件台、新型コロナ関連倒産は月間最多の159件
2021年10月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は、件数が525件（前年同月比15.8％減）、負債総額が984億6,400万円（同25.6％増）だった。
件数は、5カ月連続で前年同月を下回った。10月度としては1989年（589件）以来、32年ぶりの500件台となった。これは1964年の449件に次ぐ、57年ぶりの低水準。
負債総額は、3カ月連続で前年同月を上回り、今年3番目の規模となった。負債5億円以上10億円未満は16件（前年同月21件）と減少したが、同1億円以上5億円未満が109件（同90件）で、同50億円以上の3件（同1件）を含む同10億円以上が17件（同12件）と増加し、負債額を押し上げた。
ただ、10月としては3年連続で1,000億円を下回り、50年間では2017年の958億7,900万円に次ぐ、下から6番目の低水準だった。
負債1億円未満は383件（構成比72.9％）で、小・零細規模が主体の推移に変わりはない。
10月の「新型コロナウイルス」関連倒産は159件（前年同月比50.0％増）で、9月の155件を上回り、月間最多を更新した。2021年1-10月累計は1,346件（前年同期615件）。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が40件（前年同月23件）
- 形態別件数：破産が480件。法的倒産の構成比、17カ月連続で90％台
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが19県、減少24都道府県、同数4県
- 負債別件数：負債1億円未満の構成比が72.9％、2カ月連続で100億円以上が発生
- 業種別件数：機械器具卸売業・小売業、繊維工業などが増加
- 従業員数別件数：10人未満の構成比が87.4％、300人以上は10カ月連続でゼロ
- 中小企業倒産件数（中小企業基本法に基づく）は525件で、3カ月連続で100.0％
産業別 10産業のうち8産業で前年同月を下回る
2021年10月の産業別は、10産業のうち、不動産業と運輸業を除く8産業で前年同月を下回った。
最多はサービス業他の186件（前年同月比18.4％減）で、5カ月連続で減少した。長期化するコロナ禍で注目される飲食業は58件（同22.6％減）、宿泊業は8件（同38.4％減）と、前年同月を下回った。
そのほか、製造業54件（同16.9％減）は、18カ月連続で前年同月を下回った。また、小売業74件（同11.9％減）、情報通信業12件（同36.8％減）は5カ月連続、農・林・漁・鉱業4件（前年同月7件）は2カ月連続、建設業92件（前年同月比12.3％減）、卸売業62件（同16.2％減）は2カ月ぶり、金融・保険業1件（前年同月2件）は3カ月ぶりに、それぞれ減少した。
一方、不動産業と運輸業は各20件で、前年同月と同件数だった。
地区別 九州を除く8地区で前年同月の倒産件数を下回る
2021年10月の地区別件数は、九州を除く8地区で前年同月を下回った。
唯一、増加した九州は51件（前年同月比6.2％増）で、2021年5月以来、5カ月ぶりに前年同月を上回った。
一方、中国22件（同18.5％減）は14カ月連続で前年同月を下回った。また、東北25件（同10.7％減）は11カ月連続、関東198件（同12.0％減）、近畿117件（同31.9％減）は5カ月連続、北陸79件（同5.9％減）は4カ月連続、四国8件（同20.0％減）は2カ月連続、北海道12件（同7.6％減）、中部79件（同5.9％減）は2カ月ぶりに、それぞれ減少した。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
長田事業（株）／静岡県／リゾートホテル会員権販売／112億円／破産 （株）長泉ガーデン／静岡県／リゾートホテル経営／75億円／破産 （社福）サンフェニックス／広島県／老人福祉事業／58億6,900万円／民事再生法 （株）ＣＦＣ／大分県／不動産業／45億円／特別清算 （株）三栄ビル／石川県／不動産賃貸業／35億8,600万円／破産
