新型コロナ関連の経営破たんは負債1,000万円未満も含め、累計2,397件(11月9日11時時点)

累計2,397件
負債1,000万円以上 2,274件
負債1,000万円未満  123件

  •                  ※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
  •                  ※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の
  •                    言質が取れたものなどを集計している。
  •                  ※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

~ 10月は月間最多の164件、引き続き高いペース続く ~
 11月9日は11時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件判明、全国で累計2,274件(倒産2,161件、弁護士一任・準備中113件)となった。
 月別では、2021年に入って2月(122件)以降、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件でそれまでの最多を記録した。7月(140件)、8月(124件)も100件超えが続き、9月はこれまでの最多を更新する160件に達した。10月はさらにこれを上回る164件に達し、2カ月連続で最多を更新した。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後もコロナ破たんが減少する気配はみられず、11月も9日までに56件が判明した。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計123件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で2,397件となった。
 飲食店などの営業制限が緩和され、消費関連企業を中心に需要回復への期待が高まっている。ただ、経営体力の低下による息切れのほか、経済活動の本格再開に伴う資金需要の高まりに対処できない企業が増えることも懸念される。金融機関のリスケなど支援は継続するが、業績不振が長期化し過剰債務の問題も浮上している。息切れ型を中心に、コロナ関連破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高い。

コロナ破たん1

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 30件超えは19都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が498件(倒産478件、準備中20件)に達し、全体の2割強(構成比21.8%)を占め、突出している。以下、大阪府238件(倒産229件、準備中9件)、神奈川県115件(倒産110件、準備中5件)、福岡県109件(倒産102件、準備中7件)、兵庫県102件(倒産94件、準備中8件)、愛知県101件(倒産100件、準備中1件)、北海道83件(倒産80件、準備中3件)と続く。
 9日は山形県、神奈川県、岐阜県、兵庫県、徳島県、鹿児島県の6県で各1件判明した。10~20件未満が16県、20~30件未満が8県、30件以上は19都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上)

~ 飲食が最多の409件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で409件に及ぶ。これまで緊急事態宣言の対象となっていた地域では休業や時短営業、酒類提供の制限などで経営体力の消耗が懸念され、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が220件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の185件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が109件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が103件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した2,244件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の845件(構成比37.6%)、次いで1億円以上5億円未満が730件(同32.5%)、5千万円以上1億円未満が409件(同18.2%)、5億円以上10億円未満が135件(同6.0%)、10億円以上が125件(同5.5%)の順。
 負債1億円未満が1,254件(同55.8%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも7件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した2,161件の形態別では、破産が1,926件(構成比89.1%)で最多。次いで民事再生法が101件(同4.6%)、取引停止処分が92件(同4.2%)、特別清算が31件、内整理が10件、会社更生法が1件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した2,159件の従業員数の合計は2万3,277人にのぼった。
 2,159件の内訳では従業員5人未満が1,222件(構成比56.6%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が411件(同19.0%)、10人以上20人未満が274件(同12.6%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、7月以降も10件発生している。

コロナ破たん2
コロナ破たん2

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