「鍛えるところは意識しない方がいい」五十嵐亮太さんが語るトレーニングの“考え方”

ヤクルトなどでプレーし、最優秀救援投手にも輝いた五十嵐亮太さん【写真:荒川祐史】

五十嵐亮太さんがスクワットで意識するのは「丹田」

プロ野球選手が、どんなトレーニングをしているのか。野球をしている子どもたちの関心は高く、参考にもなる。タイトルも手にした斉藤和巳さんと五十嵐亮太さんが、元ヤクルト・古田敦也さんの公式YouTubeチャンネル「フルタの方程式」で明かした“極意”は古田さんも驚く内容だった。

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驚きの言葉が飛び出した。「鍛えるところは意識しない方がいい。例えばスクワットでは下半身を鍛えるが、下半身を意識しない方が体の使い方がうまくいく」。クエスチョンマークが浮かぶ古田さんに説明しているのは、ヤクルトやソフトバンクでプレーし、最優秀救援投手にも輝いた五十嵐亮太さんだ。身長178センチと体が大きくはなかったため「身長がなかった分、体のボリュームが必要でトレーニングをした」と話す。

まだ大きな負荷をかけないジュニア世代であっても、トレーニングをする時は鍛える部分を意識しているだろう。しかし、五十嵐さんの主張は正反対。鍛える部分を意識しないというのは一体どういう意味なのか。「トレーニングで失敗しがちなのが筋肉を大きくすると、そこを使いたくなること。それはダメ」と解説を続けた。

例えば下半身を鍛えるスクワットをする時、五十嵐さんが意識するのは「丹田」と呼ばれる場所。へその少し下にあり、気力が集まるとされている。スクワットでは下半身が意識しなくても結果的に鍛えられるので、全ての動きで核となる丹田に集中した方がいいと考えている。

斉藤和巳さん「結果的に鍛えられるというのがミソ」

この説明に大きくうなずいたのは、斉藤和巳さん。ダイエーとソフトバンクで活躍し、沢村賞を2度受賞した。「結果的に鍛えられるというのがミソ。無意識に使うところを意識する必要はない。意識しないとできないことを意識してトレーニングした方がいい」。

斉藤さんの考え方も五十嵐さんと同じだった。特定の部位や筋肉を鍛えるトレーニングでは、目的の部分は無意識に強化される。そこへ向ける意識を他のところに向けた方が効果は高いという考えだ。斉藤さんも、あらゆるトレーニングで「丹田」を意識する大切さを感じている。

五十嵐さんは唯一の例外にリハビリを挙げ「怪我をした時は、そこを集中して鍛えないといけない」と話す。野球選手は、決まったところを集中して鍛える目的でトレーニングするボディビルダーとは異なり「体の1か所だけを意識するのではなく、力を連動させることが大切」と続けた。同じトレーニング内容でも、意識の持ち方が違うトップ選手。今後、筋力トレーニングを増やしていこうとしているジュニア世代も参考になるはずだ。(記事提供:First-Pitch編集部)

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