懐かしい本・大切な一冊の思い出を綴ったエッセイ『遠い朝の本たち』

朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。

今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『遠い朝の本たち』

翻訳家・エッセイストの須賀敦子による読書体験をめぐる一冊。『ミラノ霧の風景』『ヴェネツィアの宿』などの作品で知られる著者が、少女時代に夢中になった物語、若い頃に愛した文学にまつわる思い出やエピソードを綴ります。

遠い朝の本たち
著者:須賀敦子
出版社:筑摩書房

著者は幼いときから本を読むのが大好きだった。ベッドのなかで、妹といっしょにたくさんの本を読んだ。おたがいの本を交換しあったり、好きな箇所を妹に読んで聞かせたりした。

本好きは父ゆずり。クリスマスの贈り物に父が本をくれた。ある年、著者は子どものために書かれた『平家物語』を、妹は『アンデルセン童話集』をもらった。日本画の美しい挿絵と物語の悲しみの世界にたちまち夢中になった。『アンデルセン童話集』の派手さが「はじめはちょっとうらやましかった」というエピソードがほほえましい。

一冊の文庫本を通して本好きの同級生と仲良くなったこと、ある少女小説を読んで「外国」に行きたいと思ったこと。学校でまわし読みをした秘密めいた本の愉しみも綴られています。「おいしいものを食べるように、勉強をそこそこに済ませると、私はベッドのなかでまず自分が読み、そこから、これを読んだこと、だれにもいっちゃだめよ、と約束させたうえで妹にも読ませて、ふたりで熱にうかされた」——。

少女時代にめぐりあった本が、懐かしい人々や風景とともに著者の心のなかに鮮やかによみがえります。読書のよろこびに満ちたエッセイをぜひどうぞ。

須賀敦子さんの本、以前ご紹介したこちらもぜひ。
『塩一トンの読書』
『本に読まれて』

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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