コンパクトなのに3列! ホンダ フリード各席の実用性を身長180cmの大男が座って確かめてみた

現行型デビューから丸5年が経過したホンダのコンパクトミニバン「フリード」が好調な売れ行きを示している。コンパクトなのに余裕ある室内空間がもたらす使い勝手の良さが支持を集め、2021年10月期には6237台を販売(自販連:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会調べ)。軽を除く総合6位にランクインした。ホンダ車の中では、2021年デビューの最新モデル「ヴェゼル」(5位)に次ぐ人気ぶりを誇っている。そんなフリードは、果たして上級クラス並みの広さと言えるのだろうか。身長180cmの筆者が、3列それぞれのシートに座って検証してみた。2021年10月22日、神奈川・箱根界隈で実施した広報車取材での画像も交えつつ、ホンダ フリードの使い勝手について改めて検証してみよう。

ホンダ 新型フリード HYBRID G Honda SENSING[ボディカラー:シーグラスブルー・パール/2019年10月マイナーチェンジ] [Photo:茂呂 幸正]

あれだけ数多くあった各社のミニバンもすっかり淘汰され、多くはMクラスミニバンに集約されている

ホンダ フリード(6人乗り仕様)の内装・インテリア

3列シートレイアウトの「ミニバン」は、1990年代後半から急速に普及したジャンルだ。ファミリー層を中心に支持を集め、2000年頃には大ブームに。国産各メーカーからは大小様々な3列シートのミニバンが誕生した。

しかし2021年現在、その大半はモデルごと消滅しているのが現状だ。

ファミリー層はミニバンに何より実用性を重んじる。当たり前過ぎる話だが、そこがイマイチなミニバンはユーザーから支持を得なかったのだ。

今残っているのは、背が高く室内も最大限に拡大したMクラスミニバン、トヨタ ヴォクシー/ノア、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンと、あとはトヨタ アルファードに代表される余裕たっぷりなLクラスミニバンくらいのもの。

かつては各社がラインナップしていたコンパクトなミニバンは「トヨタ シエンタ」と、今回紹介するコンパクトミニバン「ホンダ フリード」が残っている状態だ。

ご覧のようにメーカー広報画像では、コンパクトなホンダ フリードの3列目シートにも大人がしっかりと座っているが・・・ホントに!?(写真はマイナーチェンジ前のもの)

果たして、コンパクトミニバンのホンダ フリードは、厳しい目を持つファミリー層の期待に応える空間を持つのだろうか。3列シート車「フリード」(HYBRID G・Honda SENSING・FF/256万1900円・消費税込)の広報車両をホンダから借り出し、実際に筆者(身長180cm)が各席に座ってみた。

全長4.3メートルのコンパクトさだが、多くのミニバンユーザーも「これで十分だ」と感じられるほど余裕ある空間だ

1列目シート助手席側に身長180cmの筆者が乗車。大きなフロントガラスのおかげで開放感も高く快適だ

現在ミニバンで主力となっているMクラスは、全長約4.7メートル、全幅約1.7メートル、全高約1.8メートル強というサイズだ。これに対しホンダ フリードは、全長4.3メートル、全幅約1.7メートル、全高は1.7メートル強。特に全長はかなり短く、コンパクトであることが数値の上でもわかる。

写真の2列目シートはスライド位置を中間付近にセットした状態。それでも足元空間は余裕たっぷりなことが写真でもわかる。

しかし写真をご覧いただいて分かる通り、身長180cmの筆者が1列目、2列目の各シートに座った際でも、頭上や足元の空間には十分な余裕がある。特に2列目の写真は、さらに3列目に座ることを想定し、シートスライドを真ん中付近にセットしているから、実際には更に後部へ寄せることも可能。その場合、筆者が足を組んで座れるほどの余裕が生まれるのだ。

人が乗っていない状態はこちら。3列目に乗員がいなければ、シートも更に後ろへとスライドすることも出来る。その場合は足が組めるほど余裕たっぷりな足元空間が確保される

3列シート車とはいえ、常に3列フル乗車で利用するようなケースはまれだろう。通常の用途なら、コンパクトミニバンのフリードで十分すぎるほどの広さだということが改めて実感出来た。

とはいえ、やはり気になるのは「いざというときの3列目」。サードシートの広さはどの程度あるのだろうか。

3列目シートに身長180cmの大男が座ってみたら…十分に使える空間だった

3列目シートは収納も考慮されておりサイズ自体は小さめだ

コンパクトミニバンで最も気になる3列目(サードシート)をチェックしてみた。サードシート自体は、2列目(セカンドシート)に比べ、特に背もたれ部分が随分と小ぶりなことがわかる。またバックドアもシートの真後ろに迫っていて、フリードの全長の短さのしわ寄せが、ここに現れているのだった。

フリードは全長4.3メートルとコンパクトなサイズなため、定員乗車時には荷室空間がほとんどないことが写真からもわかるだろう,サードシートを左右に跳ね上げ、セカンドシートもさらに前方向へ倒せば自転車なども積み込み可能な空間が生まれる
フリードは全長4.3メートルとコンパクトなサイズなため、定員乗車時には荷室空間がほとんどないことが写真からもわかるだろう,サードシートを左右に跳ね上げ、セカンドシートもさらに前方向へ倒せば自転車なども積み込み可能な空間が生まれる

なおこのサードシートを2つ折りし左右に跳ね上げれば、ここに荷室空間が現れる。街で見かけるフリードの多くも、サードシートを左右跳ね上げた状態をデフォルトモードとして乗っているユーザーが多いようだ。

身長180cm男性(写真)でも頭上にまだ余裕があることがわかる。なお3列目乗車時には、ヘッドレストは写真のように引き出して使う

先に述べたとおり、セカンドシートのスライド位置は中間あたりにセットし乗ってみたところ、写真の通り十分な空間となった。背もたれは短いが座面のサイズ自体はセカンドシート並みにあるから、意外とこれで十分な印象。大柄なヘッドレストが頭と背中を支えてくれる。ちょっとしたドライブなら大丈夫というレベルだった。

これなら友人や親戚、祖父母などが訪れた際、近所の送り迎えやレストランへの移動といったシーンでも十分に活躍出来るだろう。

ヴォクシーやセレナ、ステップワゴンを検討している方でも、一度フリードもチェックしてみて欲しい。「これで十分だ」と感じるなら、検討リストに加えると良いだろう。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:茂呂 幸正・Honda]

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