木下富美子都議が選んだ〝生き地獄〟 エンドレス辞職勧告、リコール、証人喚問の三重苦

ゴージャス衣装の木下都議(東スポWeb)

7月に行われた東京都議選中、無免許運転で人身事故を起こしながらも公表していなかった木下富美子都議(55)が9日、事故が発覚してから初めて公の場に姿を見せた。謝罪こそしたものの議員辞職は拒み、居座り続けるツラの皮の厚さに有権者の怒りは収まらないが、都議も手をこまねいて見ているわけではない。木下氏に辞職勧告決議を出し続ける〝無限ループ〟で、追及の手を緩めない構えだ。

再選した後、雲隠れしていた木下氏が9日、約4か月ぶりに都議会に登庁した。三宅茂樹議長、本橋弘隆副議長との面談の席で議員辞職を勧められたが、木下氏は「辞職はしない。議員として活動させていただきたい」と拒否。その後、待ち受けていた報道陣の前で約9分にわたって謝罪の弁を述べた。

この席上、木下氏が事故被害者へのおわびの次に触れたのは「今後は運転免許を取得せず、自動車等を運転しない。事故時の車は処分した」と無免許運転事故のケジメだった。そもそも木下氏は過去3年の間に速度超過、一時停止無視、信号無視、携帯電話使用などで5回も免停となっている〝違反常習者〟だ。

木下氏を知る関係者は「免停中にもかかわらず運転していたのは確信犯で間違いない。もともと彼女はレトロな車やバイクを乗り回していた。車好きというか運転好き」と明かす。そんな木下氏にとって〝免許返上&運転断ち〟は重大決断のようだが、有権者からしてみれば免許返上など当たり前で、何の説得力もないのはいうまでもない。

さらに木下氏の耳を疑う話は続いた。「多くの方々からご意見、お叱りの言葉、ご批判をいただいた。都議会においても2度の勧告決議が出されたことも重く受け止めている」と神妙に話した一方、1期目4年間の成果を披露し「『ぜひ続けてほしい』『また力を貸してほしい』という声もあった」と辞職せずに議員を続ける理由を述べた。

この厚顔無恥な姿にネット上では「鉄どころかダイヤモンドの女だ」「この強靭なメンタルにあやかりたい」と皮肉が飛び交い、炎上する事態となった。

批判の声は木下氏の服装や派手なアクセサリーにも及んだ。ワインレッドのワンピースにジャケット姿で、左手には高級ブランドのシャネルとみられる腕時計と2つの金色と銀色の指輪を付けていたのだ。

フラッシュを浴びるたびにアクセサリーが反射し、報道陣の間では「なんであんな派手なアクセサリーを付けているのか」と話題となった。ある都議は「普段は大きなネックレスを付けているが、それを外しただけ。謝罪の場で、そんなキラキラした腕時計や指輪はそぐわない。全く反省していない」とあきれるばかりだった。

当選からこれまでの議員報酬約192万円はNPO法人に寄付し、政務活動費の約150万円についても請求しないことでミソギをつけ、一方的に謝罪の場を持って幕引きを図ろうとしているが、果たしてこのまま逃げ切れるのか?

この日の理事会では、木下氏が説明もなしで一方的に出席を通告してきたことに「都民、都議会をバカにしている。辞職勧告決議は重い」と批判を浴び、委員会は開かれなかった。この問題を追及している上田令子都議は「辞職勧告決議案をこれからも出し続けていきます」と明言した。

辞職勧告決議案は、会ごとに1度だけ出すことができる。これまでも7月臨時会と9月定例会において、全会一致で可決された。法的拘束力はないものの、上田氏は「本人がいるところで出し続けていくことに意味がある。証人喚問できるかも検討していきたい」。

残り3年半の任期中、追及の手を緩めず、風化もさせないとし、来年7月以降には板橋区民によるリコール運動も呼びかけるという。

鋼のメンタルを持つ木下氏だが、針のムシロから逃れることはできない。議員続行という決断により、〝生き地獄〟を選んでしまったのかもしれない。

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