鷹・千賀滉大、なぜ免除だったキャンプに参加? 期間途中からでも宮崎入りした理由

秋季キャンプに合流したソフトバンク・千賀滉大(右)【写真:福谷佑介】

千賀は松田や柳田、森らと同じく藤本新監督からキャンプ参加は免除されていたが…

ソフトバンクの千賀滉大投手が9日、宮崎市の生目の杜運動公園で行われている秋季キャンプに合流した。今季10勝をマークした右腕は藤本博史新監督からキャンプ参加を免除されていたものの、自ら志願しての参加に。わざわざ第2クールから参加することになったのは、千賀なりの考えがあってのことだった。

合流初日となった第2クール初日の練習。練習前の円陣でスタッフからチームメートへ合流が紹介された千賀。練習が始まると、チーム本体からは離れて別メニューで練習に取り組んだ。まずは体の状態のチェックなどを行うと、その後は室内練習場に移動して強化メニューに励み、ウエートトレーニングで合流初日を終えた。

第2クールからの途中合流となったのは理由があった。「最後に投げてから2週間は休むと前々から決めていました。2週間休んでからというのが自分の中にありました」。千賀の今季最終登板は10月25日のZOZOマリンでのロッテ戦。6年連続2桁勝利を達成した試合だった。そこからちょうど2週間が経過。きっちりと体を休め、来季への立ち上げのための地に宮崎を選んだ。

ソフトバンクは福岡・筑後市内にファーム本拠地「HAWKS ベースボールパーク筑後」を持つ。育成選手やリハビリ組の選手はこのキャンプには参加しておらず、このファーム施設で練習している。千賀は柳田や松田、森らと共にキャンプ参加を免除されており、練習するのであれば、ファーム施設を使うこともできた。ただ、あえて千賀はキャンプ地に来ることを選んだ。

「細かいことを知っているトレーナーさんがこっちに来ている」

千賀は明かす。「オフはこうしていこう、というのを1軍のトレーナーさんとしていました。細かいことを知っているトレーナーさんがこっちに来ているので、やるべきことに取り組むために、その人の力も借りながら、やっていた部分もあるので(キャンプに来た)。自分1人では、できていると思っていても、できていないことってあるので」。オフに取り組もうと考えていたテーマ。それを理解している勝手知ったるスタッフの下で取り組むためだった。

常に向上心に溢れている千賀。今季は怪我で前半戦はほぼ投げられなかったが、東京五輪で金メダル獲得に貢献。さらに、五輪後は獅子奮迅の活躍で、後半戦だけで9勝を挙げた。球界でも最高の投手の1人になっても、満足することはなく「投げていく中でまだまだロスがある感じは分かっていますし、パフォーマンスをもっともっと上げていかないといけない。今年に関しては、考えることよりもマウンドでとりあえず結果を、というところに重きを置きながら投げたので」という。

昨季まで4年連続で日本一となり、主力選手は秋季キャンプでじっくりと課題に取り組むことはしばらくなかった。5年連続の栄冠を逃し、悔しい思いこそしたが、そこをプラスに変えなければならない。「オフになったらああしたいこうしたい、と出てくる。例年にはない時間をもらっているイメージなので、ゆっくりやれるんじゃないかと思っています」と千賀自身もこの秋の重要性を感じている。

今季はふくらはぎの怪我で出遅れ、復帰戦で左足首を負傷。前半戦はほぼ戦力になれなかった。それだけにこのオフへの思いは強い。「怪我せずに1年やって、チームに貢献できるようにやりたいと思いますし、怪我で投げられないのはつまらない。充実した野球生活を送れるのは1軍で野球をやれることだな、と今年改めて思ったので、怪我というところに意識持って、この2か月、3か月過ごしたい」。実りの秋にするべく、志願して秋季キャンプで汗を流す。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

© 株式会社Creative2