無免許事故の都議が“謝罪会見” 議員は続ける意向

7月に行われた東京都議会議員選挙の期間中に無免許運転で自動車事故を起こし書類送検された木下富美子都議が11月8日、選挙後初めて議会に姿を見せ、今後も議員活動を続ける意向を示しました。

およそ4カ月ぶりに姿を見せたのは木下富美子都議(55)です。木下都議は7月の都議選の期間中に無免許運転で交通事故を起こしましたが、再選後、本人の説明のないまま体調不良を理由に議会の欠席を続けてきました。その後、2回の辞職勧告を受け、都議会からは召喚状が出されていましたが、木下都議はこれにも応じていませんでした。

11月5日に都議会の正副議長から「8日正午に議長室を訪れ、説明するよう」求める3回目の召喚状が出されたことから、木下都議はそれに応じるためおよそ4カ月ぶりに議会に姿を現しました。赤いワンピースに灰色のハットを深々とかぶり、自身の会派の控え室に入った木下都議でしたが、続いて控室から議長室に向かう際には報道陣からの問い掛けに答えることなく、議長室に向かいました。正副議長との面会でも表情は見せず終始うつむいたままでした。

面会後、沈黙を貫いてきた木下都議は会見に応じ、重い口を開きました。木下都議は「このたびの私の行動で本当に多くの皆さまにご迷惑をお掛けしていること、被害に遭われた方へのお見舞いとおわびの気持ちを申し述べたい」とした上で「免許停止中に車の運転をしてしまったことはあってはならない、また、そこで事故を起こしてしまったこともあってはならないことと深く反省をしている。今後二度と繰り返すことがないよう免許の再取得はせず、車等の運転はしない。事故時の車も既に処分した。本当にこのたびは大変申し訳ありませんでした」とこれまでの自身の行動についてまず謝罪しました。辞職勧告など議員辞職を求める声があることについては「この間多くの方々からご意見、おしかりの言葉、ご批判を頂いた。私への議員辞職を求める声があることも承知している。都議会において2度の辞職勧告決議を出されていたことは大変重く受け止めている」としました。しかし「この期間、厳しい批判を受ける一方で『ぜひ続けてほしい』『また力を貸してほしい』という声があることも事実。償うべき罪はしっかりと償う。失われた信頼を回復することは大変厳しい道のりであると覚悟している。一つ一つこれからの議員活動の中で答えを導き出していきたい」と述べ、改めて議員活動を続ける意向を示しました。

事故後1度も説明のないまま都議会を欠席し続けた理由については「事故前、選挙活動の期間から不眠・ストレスなどがあり体調が悪い状況があった。そして事故を受け、さらにその状況が厳しくなり、よく寝られない日々が続いたり食べ物が口を通らない日があったり手がつかないようなイライラ・不安といったものにさいなまれ、寝ずに頑張ると高揚してしまってハイテンションになるような自分としても尋常でない状況が続いたので医療機関に受診し、診断書を頂き、今、薬を処方してもらっている。このような状況の中、議会をお休みさせていただいたこと、そして議長・副議長をはじめ議会関係者に負担を掛けたことについても改めて心よりおわび申し上げる。本当に申し訳ございません」と述べました。

そして、欠席していた間に支払われた議員報酬については既にNPO法人などの団体に寄付したと話しました。また、無免許事故については「被害に遭われた方に改めておわび申し上げます。また10月半ばに示談をお受けいただけたことは本当に感謝したい」と述べ「現在も捜査が続けられている案件で、事故・事件に関してはこれらが整理された段階で弁護士とも相談しながら説明を行っていきたい」としました。記者から無免許でなぜ運転したのかについて問われると「これについても今、捜査で聴取を受けている内容。話している内容はもちろんあるが、現時点では申し訳ございません」と述べるにとどめました。さらに無免許で運転している自覚があったのかについても「申し訳ございません。現在、そこについてもお話できない」と述べ、事故については捜査中で話せないとし、具体的な説明はありませんでした。

木下都議を巡るこの騒動で、議会運営にも影響が広がっています。木下都議は4カ月ぶりに都議会に姿を見せ、自身が所属している委員会の理事会に参加する予定でした。議長との面会後、木下都議は理事会に向かいましたが、理事会の委員が退席したため、理事会は正式に開かれず、参加することができませんでした。今回、理事会が開かれなかったことについて都議会会派のある幹部に話を聞いたところ「理事会が開かれてそこに出席すると、木下議員が議会活動をしたことになってしまう。都議会が辞職勧告決議を出している以上、木下議員が委員会に参加した実績を認めるわけにはいかない」と、理由を説明しました。また、召喚状についても「木下議員は議長と面会はしたが、説明責任を果たしていない。こちらの要求に応じたとは言えない」と話し、追及を続けていく姿勢を示しました。

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