紅葉で投資家も高揚(こうよう)?秋の深まりと株価との意外な関係

今年の立冬(りっとう)は11月7日でした。冬の始まりを告げる立冬を過ぎると、東京都心でも紅葉や黄様が気になってくる時期です。

明治神宮外苑は146本もの“いちょう”並木がもたらす“黄金ロード”が人気のスポットです。駒込の六義園は葉が紅色になる“かえで”が多く、紅葉が堪能できる名所です。黄金色に変わる“いちょう”が程よく混じって見事なグラデーションが味わえる場所です。

例年の東京都心の紅(黄)葉の見頃は11月下旬頃からですが、この葉の色づき、株価と3つの意外な関係があるのです。今回は紅(黄)葉と株価についての検証結果を紹介します。


都心の紅(黄)葉日には株価が高くなりやすい

1つ目は「都心の紅(黄)葉日には株価が高くなりやすい」というものです。本当なのか、検証結果からお話ししましょう。

気象庁では、皇居外苑にある北の丸公園で「木全体を眺めたときに、大部分の葉が紅葉なら紅色、黄葉なら黄色に変わった状態になった最初の日」を紅(黄)葉日として発表しています。その紅(黄)葉日に日経平均株価がどう動いたのかを調べました。

データが比較的簡易に取得できる2013年から2020年までの毎年の紅(黄)葉日の日経平均株価の騰落率を平均するとプラスでした。紅(黄)葉日に株価が上昇した割合も、“いちょう”が88%、“かえで”が71%と高い割合です。

ではなぜ、紅(黄)葉日に株高傾向となるのでしょうか。紅葉を見ると人々の心は安らかな気分にもなります。そして、人々の気持ちが癒される状況では投資家も前向きな姿勢で市場に臨みやすく、それが株高につながりやすいとされます。こうした学説は近年、注目の「行動経済学」という学問に基づいています。

紅(黄)葉日期間は株価が高くなりやすい

2つ目は「紅(黄)葉日期間は株価が高くなりやすい」というものです。これも、行動経済学が裏付けとなっています。検証結果を見てみましょう。

気象庁は葉の約80%が落葉した最初の日を落葉日として公表しています。そこで前表と同じ2013年から2020年までの毎年の黄葉、紅葉日から落葉日までを黄葉期間、紅葉期間として日経平均株価の騰落率と勝率を見てみました。

いずれも平均騰落率はプラス、そして勝率も75%、61%と高い比率となりました。紅(黄)葉日の1日だけでなく、“紅(黄)葉日期間を通じて投資家の姿勢が前向きになり、株高傾向にも関係しているのでは”と考えられます。

紅(黄)葉日が早く来た冬は株価が高くなりやすい

最期の3つ目は、「紅(黄)葉日が早く来た冬の株式相場では株価が高くなりやすい傾向が見られる」というものです。

“いちょう”の黄葉日の場合、11月26日までに訪れた冬、つまり12月から翌年2月までの日経平均株価の騰落率は、平均すると1.54%とプラスとなりました。“かえで”も同様で紅葉日が26日までだと、1.67%の平均騰落率とプラスでした。反対に遅い場合の冬の騰落率は平均してマイナスの騰落率の結果となりました。

黄葉は寒くなると色づきが良くなり、紅葉は朝晩の冷え込みなど日中との寒暖差が大きくなるほど色づきが良くなるなど、それぞれのメカニズムが異なっています。

とは言え紅(黄)葉日が早いということは、冬の訪れが早く、冬物衣料や、エアコンなどの需要が高まり景気へのプラス効果が株高につながってくるのかもしれません。こちらは冬の訪れの早さが経済活動の活発化と関係するという点からのお話しです。

さて、今年の黄葉、紅葉の見ごろ時期は平年並みとも言われていますが、今度の動向はどうなるのでしょうか。投資の面からも注目したい情報です。

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