ながさき農林業大賞 大石さん夫婦(松浦)最高賞 肉用牛繁殖にICT活用

ICTを活用した肉用繁殖牛の飼養に取り組む大石啓介さん(右)、恵子さん=松浦市鷹島町

 地域の特性を生かした先進的な経営、生産方法を導入している長崎県内の農林業者を表彰する本年度の「ながさき農林業大賞」で、松浦市鷹島町原免の大石啓介さん(44)、恵子さん(47)夫婦が最高賞の農林水産大臣賞・知事賞に決まった。従業員やパートを雇い、ICT(情報通信技術)を活用した肉用繁殖牛の繁殖管理、水稲、スナップエンドウ、ブロッコリーを栽培する雇用型複合経営体として、畜産の経営コンサルや税理士の助言を受けながら経営管理に努めていることが高く評価された。
 同大賞は県やJA県中央会などでつくる運営委員会が表彰し、16回目。大石さん夫婦がエントリーした畜産や野菜、果樹など計15部門に38の個人・団体が応募。このうち10部門で知事賞が決まり、その中から最高賞(農林水産大臣賞)1件を選んだ。
 大石さん夫婦は2003年に啓介さんの実家の畜産農家を継ぎ、現在は肉用繁殖牛を県北最大規模の145頭飼養。繁殖牛に種付けする「家畜人工授精師」の資格を夫婦ともに持ち、牛の発情や分娩(ぶんべん)をカメラなどで監視するなどICTを活用して繁殖、分娩を管理するシステムを導入。分娩間隔を県平均を上回る342日に短縮したほか、数百頭いる地域の全繁殖牛の管理も担い、地域における分娩間隔の短縮に貢献した。
 また、啓介さんは農業士や和牛改良組合役員、恵子さんは農業委員、JA女性部役員などを務め、研修生や体験農業の受け入れ、遊休農地の活用、鳥獣害対策など地域の農業の振興や経営向上にも尽力している。
 大石さん夫婦は「受賞は従業員や地域、関係各機関の支えのおかげ。仕事にやりがいを感じている。受賞が地元の若手農業者の刺激となり、地域農業が栄えることにつながればうれしい」と話した。

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