JAXA星出宇宙飛行士ら4名が搭乗の「クルードラゴン」地球へ無事帰還

【▲ 回収船「GO Navigator」の船上で笑顔を見せるJAXAの星出彰彦宇宙飛行士(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)】

日本時間2021年11月9日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の星出彰彦宇宙飛行士「クルー2」ミッションの4名を乗せたスペースXの有人宇宙船「クルードラゴン」運用2号機がメキシコ湾に着水しました。4月23日にケネディ宇宙センターを出発して国際宇宙ステーション(ISS)に渡った4名の宇宙飛行士は、約200日に渡るミッションを終えて無事帰還を果たしました。

クルー2ミッションにはアメリカ航空宇宙局(NASA)のシェーン・キンブロー(Shane Kimbrough)宇宙飛行士メーガン・マッカーサー(Megan McArthur)宇宙飛行士、欧州宇宙機関(ESA)のトマ・ペスケ(Thomas Pesquet)宇宙飛行士、それに星出飛行士が参加。4名はISS第65次/第66次長期滞在クルーのメンバーとして船内での各種実験や船外活動などに従事しました。滞在中、星出飛行士は若田光一宇宙飛行士に次いで日本人宇宙飛行士としては2人目となるISS船長(コマンダー)を務めています。

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【▲ 国際宇宙ステーションを離れる「クルードラゴン “エンデバー”」(Credit: NASA)】

4名が搭乗したクルードラゴン “エンデバー(Endeavour)”は日本時間11月9日4時5分にISSを離脱。約8時間半後の同日12時33分にフロリダ州ペンサコーラの沖合へ無事着水し、スペースXの回収船「GO Navigator」に収容されました。クルー2ミッションの期間は199日17時間44分で、NASAによればアメリカの有人宇宙船(カプセル型)によるミッションとしての最長記録となりました。

JAXAによると、今回のミッションにおける星出飛行士のISS連続滞在期間は198日9時間57分で、通算宇宙滞在期間は日本人宇宙飛行士として3番目の340日11時間13分、通算ISS滞在期間は2番目の331日21時間11分となっています。

2020年から始まった民間の有人宇宙船(クルードラゴン)によるISSへの宇宙飛行士の輸送も含めて、長期滞在開始から今年で21年を迎えたISSでは能力拡大や延命対策などの新たな動きが目立っています。クルー2の4名が滞在中の2021年7月にはISSのロシア区画へ追加された多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」がドッキングしましたし、2021年10月にはISSで初の長編映画撮影を行うべくロシアの民間人クルー2名が短期滞在しています。

【▲ 着水後、回収船「GO Navigator」に引き上げられた「クルードラゴン “エンデバー”」(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)】

また、キンブロー飛行士、ペスケ飛行士、星出飛行士の3名は、新型太陽電池アレイ「iROSA(ISS Roll-out Solar Array)」の増設や取付架台の設置などを行うための船外活動を滞在中に合計4回実施しました。NASAによれば、このうち日本時間9月12~13日に行われた星出飛行士とペスケ飛行士による船外活動は、ISSの歴史上アメリカとロシア以外の宇宙飛行士のみで実施された初の船外活動になったとのことです。

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なお、クルー2の4名はクルードラゴン運用3号機による「クルー3」ミッションの宇宙飛行士がISSに到着してから地球へ帰還する予定でしたが、クルー3のメンバーが搭乗するクルードラゴン “エンデュランス(Endurance)”の打ち上げは気象条件や医学上の問題によって当初予定されていた10月31日から延期され続けており、今回はクルー3の打ち上げを待たずに帰還することとなりました。11月10日午前の時点で、クルー3の打ち上げは日本時間11月11日11時3分以降が予定されています。

【▲ ハッチ越しに笑顔を見せる4名の宇宙飛行士たち(Credit: NASA/Aubrey Gemignani)】

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Image Credit: NASA
Source: NASA / JAXA
文/松村武宏

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