日本が「終戦宣言は時期尚早」と主張する理由は? 朝鮮半島の平和構築に逆行した過去の言動

「日米韓が先月ワシントンで開いた岸田政権発足後初の高官協議で、朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言が議題となり、日本が「時期尚早」として難色を示したことが分かった」―共同通信のこの報道が物議を醸した。

今も米国と交戦状態にある朝鮮は、米国の朝鮮敵視政策が続く限り、終戦宣言は虚像に過ぎないという立場を示している。

ところが日本が「時期尚早」だと主張する理由は別にあるという。

 共同通信は「北朝鮮がミサイル実験を繰り返し、核兵器開発と日本人拉致問題で解決への道筋が見えない中、岸田政権は融和ムードだけが拡大することを警戒した」と説明した。

 高官協議に精通する関係者の情報リークでなければ、過去の前例に沿った記者の見解もしくは分析だと思われる。

 朝鮮半島の対決構図を自国の利益と重ねてきた政権は、あれこれと口実をつけながら、この地に平和をもたらす動きにブレーキをかけてきた。朝鮮の立場からは、そのように見える。

 - 6者会談が開かれた時には拉致問題を掲げて非核化に向けた同時行動の合意と履行を邪魔した。

 - 朝鮮が国家の自主権と生存権を守るためにとった自衛的措置に対して制裁を加えなければならないと率先して主張した。

 ― 南北・朝米間で首脳会談が開かれる局面(2018~19年)においても、妨害者として振る舞った。当時ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官だったボルトン氏は回顧録で「安倍首相は制裁緩和の理由がないとして、トランプ大統領に北に譲歩しないように要請した」と暴露している。

金正恩総書記、トランプ大統領、文在寅大統領が板門店で対面した。(2019年6月、朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 共同通信の報道に対して会見で発言した磯崎官長副長官は、外交上の問題なので詳細な内容は明らかにすることができないと肯定も否定もしなかった。

 政権が替わっても対朝鮮政策は変わらないのか。あの時の日本の外交的孤立が再現するのだろうか。

 それは首相や閣僚、政権の意向を伺う官僚たちの今後の言動によっておのずと明らかになる。朝鮮は、そう判断しているだろう。

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