〈衆院選〉「小選挙区」から25年 新潟6区激戦の推移 非自民系勝ち越し

 10月31日に投開票された第49回衆院総選挙。現在の選挙制度「小選挙区比例代表並立制」が初めて導入されたのは1996年10月選挙から、今回でちょうど25年となった。制度導入後、今回の選挙まで9回の総選挙が行われている。同制度ならではの特徴的な現象もあった。小選挙区新潟6区の歴史から同選挙制度を振り返る。

 同制度はこれまでの中選挙区制が見直されて移行した。目的は大きく二つ。金のかからない制度と、二大政党制を促すためだとされた。

◇小選挙区制度初勝利は自民党

 同選挙制度で初めて行われた96年選挙。新潟6区自民党公認は高鳥修一氏の実父・修氏(故人)。前回中選挙区選挙では定数2議席を修氏と白川勝彦氏(故人)の自民が独占していた。

 しかし小選挙区制は1人。調整は難航したがコスタリカ方式を採用。最初に修氏が小選挙区で立候補し、白川氏は比例区単独で出馬。以降、交互に繰り返すというものだった。

 一方、90年選挙で旧社会党から初当選したものの、93年選挙で落選、再起を目指した筒井信隆氏が野党系無所属で出馬。筒井氏は上越市で3万9000票余りを得票、対する高鳥修氏は2万6000票にとどまった。ただ他市町票の合計では高鳥修氏が10万7500票、筒井氏は10万3300票とわずか4200票で高鳥修氏が上回り10回目の当選を飾っている。

◇多くの「死に票」6区でも顕在

 この選挙が同制度の特徴を浮き彫りにした。同選挙制度の特徴の一つが重複立候補、復活当選だ。同制度導入時の議論の一つに、1対1選挙では敗者候補に投じた票が反映されない「死に票」を救済するための導入だ。

 2人の得票差により惜敗率を考えれば、筒井氏は十分復活当選できる範囲だったが、重複立候補ができるのは政党要件を満たした政党に限られている。筒井氏は無所属での出馬だったため、復活当選はならなかった。当時、「全国最多得票落選」といわれた。

 17年の総選挙。時代は「高鳥修―修一」、「筒井―梅谷」に代替わり。野党統一候補として臨んだ梅谷氏は議席を持つ高鳥氏に2200票まで肉薄したが、野党共闘に配慮しての無所属での出馬だったため、比例での復活は実現しなかった。21年前の再現となった。梅谷氏は当時「たくさんの死に票が出てしまったことが一番悔しい」と語っている。

 00年選挙ではコスタリカ方式で、自民は白川氏が小選挙区に出馬、筒井氏は民主党の公認として立候補。筒井氏が競り勝ち、新潟6区に非自民議席をもたらした。以降9回の自民対非自民対戦成績は5勝4敗で「非自民」が勝ち越した。この間、政権交代も実現した。

 野党共闘で大きなキーパーソンとなった共産党。最初の選挙から7回連続で単独公認候補を擁立してきた。しかし、近年「新潟方式」といわれる〝野党共闘〟に同調。17年選挙から候補を「野党統一候補」に一本化。今回の非自民系議席につながった。今後の野党連携が注視される。

 今回の選挙に限らず〝大票田〟上越市の票が注目されてきた。得票の歴史からすれば非自民系候補が勝っている。9回の選挙のうち7勝と大きく勝ち越している。中選挙区時代からも革新系の基盤の厚さは言われてきた。次回以降も、上越市票の取り込みにしのぎが削られる。

◇「復活当選」は過去2回

 今回の選挙で当選した梅谷氏と高鳥氏との票差は130票。高鳥氏は比例で5選を果たした。新潟6区では05年選挙以来2度目の「比例復活劇」となった。

 今回の選挙では高鳥・梅谷対決に加え、元立憲民主党参院議員の風間直樹氏の去就に注目が集まった。風間氏は19年1月、翌年の自身の改選を控えた参院選に出馬せず、衆院新潟6区へのくら替え出馬を表明した。最終的に環境が整わず直前で出馬を見送っている。出馬していれば、03年選挙の再現、三つどもえの分裂選挙の可能性があった。

 風間氏は自民党として政治家のキャリアがスタート。白川氏に近いスタンスで活動。県議に当選。しかし、白川氏が00年選挙で落選。のちに離党したことから03年選挙で高鳥修一氏と公認を争い高鳥氏が公認を得て、風間氏は無所属で出馬。その後風間氏も自民を離れ、07年参院選比例区で民主党公認で当選した。

 今回再び衆院新潟6区での出馬を目指したが、その上で「次」を示唆している。筒井―梅谷、高鳥修―修一、白川―風間。梅谷、高鳥修一、風間3氏。「川の源流のようなもの」を経て代替わりした3人を軸に、上越政界は動いていく様相だ。また、次回選挙からは本県の小選挙区が現行の定数6から1減の見通しも含んでいる。

 「選良」と称される衆院議員。かつて白川氏は「何万人の代表として当選してきた人を、政党とか派閥は国会に来た途端に一兵卒にしてしまう」と自戒を込めて言ったことがある。特に政党政策中心の同制度ではその傾向が強い。上越から選ばれた2人の議員には、いま一度「選良」の原点に立った活躍を願っている。特別国会は10日召集される。

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