カローラシリーズにスライドドアのSUV!? 市販化の噂が絶えない「Tjクルーザー」はカローラの新ラインナップで登場か

2017年の東京モーターショーに出展され大きな反響があった「Tjクルーザー」は、SUVとしては珍しく後席にスライドドアを持つコンセプトカーで、いまだ市販化の噂が絶えない。大きく見えるが、実はカローラのCセグメントクラスを想定したモデルだ。カローラクロスが市販化された今、果たしてTjクルーザーの市販化はあるのだろうか。改めて検証してみよう。

トヨタ Tj クルーザー/東京モーターショー2017

カローラクロスよりも小さい! 見た目よりもコンパクトだった「Tjクルーザー」

トヨタが東京モーターショー2017に出展したクロスオーバースタイルのコンセプトカー「Tj CRUISER(ティ・ジェイ・クルーザー)」

2017年11月に開催された第45回東京モーターショー2017にトヨタが参考出品した「Tj CRUISER(ティ・ジェイ・クルーザー、以下「Tjクルーザー」)」は、バンの積載性能とSUVの力強いスタイルを融合させた新ジャンルのクロスオーバーコンセプトカーだ。SUVスタイルながら後席にスライドドアを備えるのは珍しい。登場から4年が経過した今改めて見ても飽きの来ないシンプルなスタイリングも秀逸だ。

日本の道路環境下にも適合出来る現実的なサイズ感

ワイルドなSUVスタイルとスライドドアの組み合わせはなかなか珍しい

Tjクルーザーは、TNGAプラットフォームをベースとし、2リッタークラスのハイブリッドシステムを搭載。ボディサイズは全長4300mm×全幅1775mm×全高1620mm、ホイールベース2750mmと発表されている。

他のトヨタ車と比べると、例えば2021年9月に発売されたコンパクトSUV「カローラクロス」が全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm、ホイールベース2640mm。同じカローラファミリーのステーションワゴンモデル「カローラツーリング」は全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mm、ホイールベース2640mmだから、それらよりも小さいサイズなのである。

Tjクルーザーは見た目の迫力から想像する以上に意外とコンパクトで、国内での利便性も考えられた現実的なモデルであることが数値のうえからも良くわかる。

Tjクルーザーは、カローラクロス検討時の“ボツ案”だった!?

そんなトヨタ Tjクルーザーは、東京モーターショー2017での出展で大きな反響を得た。市販化の噂も絶えなかったものの、トヨタからの情報発信はその後もなく、初公開から4年が経過した2021年11月時点でも、いまだに姿を現していない状況だ。もはや市販化はあり得ないのだろうか。

ひとつ考えられるのが、このTjクルーザーがカローラシリーズの新バリエーションのひとつとして検討されていた可能性だ。TjクルーザーはTNGA GA-Cプラットフォームの使用を前提にデザインされており、ボディサイズやパワートレインなどもカローラシリーズに近い。カローラに今までなかったクロスオーバースタイルを検討するため登場した、という訳である。

フロントグリルが突きだした意匠のコンセプトカー「トヨタ Tjクルーザー」, 海外仕様の「カローラクロス」もフロントグリルが強調されたデザインだ
フロントグリルが突きだした意匠のコンセプトカー「トヨタ Tjクルーザー」, 海外仕様の「カローラクロス」もフロントグリルが強調されたデザインだ

もしそうだとすれば、カローラでは新しいコンパクトSUV「カローラクロス」が2021年9月に市販化されており、Tjクルーザーは、企画検討の初期段階にアイデアとして登場していた、いわば“ボツ案”だったのかもしれない。

本採用にこそならなかったものの、ショーを通じ新しいコンセプトのTjクルーザーを披露し一般の反応を見ることで、今後の可能性や新たな市場開拓の糸口をたどるという手法をとった可能性は高い。

いっぽうで「Tjクルーザーはいまだ開発途上にある」という説も根強い

Tjクルーザーはカローラクロス開発時の別案かつマーケットリサーチのためのスタディモデルである、という説を紹介した。このリサーチ結果が良好だったため、Tjクルーザーは改めて市販化の検討がされているという説も根強い。2018年以降に企画が立ち上がった状態で、2021年11月現在ではまだ開発の途上にあるというのだ。

残念ながら開催中止となった2021年の東京モーターショーで、本来なら市販に向けブラッシュアップされたTjクルーザーの何らかの姿がステージ上で紹介されていたのかもしれない。

Tjクルーザーの内装。インパネデザインはショー用の装飾も軽めで意外と現実的にみえる,助手席までフラットになることで、車中泊や長尺物の積載も容易に出来そうだ
Tjクルーザーの内装。インパネデザインはショー用の装飾も軽めで意外と現実的にみえる,助手席までフラットになることで、車中泊や長尺物の積載も容易に出来そうだ

このようにトヨタ Tjクルーザー開発については、開発中止説と開発段階説の両方が聞こえてくる状況にあり、MOTAでも2つの説の正否について未だ情報を収集している段階にある。

今後新たな情報が入り次第、こちらの記事を改めて更新する予定である。

[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:MOTA編集部・TOYOTA]

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