ポルシェ、WEC最終戦の接触裁定への訴えを取りやめ「厳格で統一されたアプローチを望む」

 WEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスに参戦するポルシェは、11月6日に行われた2021シーズン最終戦バーレーン8時間レースにおける終盤の接触に関する抗議がスチュワードから棄却された件に関して、さらなる上訴を取りやめると明らかにした。

 ポルシェは当初、『レースディレクターがスチュワードに報告せずに撤回したペナルティを取り扱った』とレース後に抗議していたが、スチュワードはこれを棄却していた。

 この棄却を受け、ポルシェはこの問題をFIAの国際控訴裁判所に上訴すべく行動していた。ポルシェにはこのために96時間の猶予が与えられたが、その時間が経過した後、ソーシャルメディアへの投稿によって、この問題についてはこれ以上の行動を起こさないことを確認している。

 問題の事件は、LMGTEプロのレースリーダーだった92号車ポルシェ911 RSR-19のマイケル・クリステンセンが、フィニッシュまで12分というタイミングでAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoのアレッサンドロ・ピエール・グイディに追突を受ける形でスピンしたことに端を発する。

 トップに立ち走行を続けたピーエル・グイディに対し、当初は「ポジションを戻せ」とレースコントロールから指示が出された。しかし直後にクリステンセンが燃料給油のみのピットストップを行うと、ポジション入れ替えに関する指示はタイミングスクリーン上から消えた。

 この結果、同じく直後に燃料スプラッシュのためのピットを行ったピエール・グイディ/ジェームス・カラド組が優勝。スタート時点では92号車のケビン・エストーレ/ニール・ジャニと同ポイントに並んでいたが、LMGTEプロのタイトルは51号車フェラーリ陣営のものとなっていた。

 11月11日、ポルシェがソーシャルメディア上で発表した声明は以下のとおり。

「ポルシェ・モータースポーツは、バーレーン・インターナショナル・サーキットでのWECシーズンフィナーレ後、92号車ポルシェ911 RSR-19と51号車フェラーリとの間の事件について、レースディレクターが下した決定に抗議を提出した。この抗議は棄却された」

「ポルシェは、抗議の棄却に対して上訴すると発表した。その意図は、総合的な状況と事実、そして法的見地を完全に調査できるようにすることだった」

「(だが)状況の子細な分析と弁護士からのアドバイスにより、これ以上の訴訟を起こさないという決定が下された」

「このスポーツの利益のために、ポルシェは将来的に、とりわけレース中にコース内での違反に対するペナルティに関して、厳格で統一されたアプローチがとられることを望む」

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